2016年07月31日

ニコン D7200 JPEGの色再現性(ピクチャーコントロール)


場所は海部川支流の母川。
晴天の昼下がり。気温は30度を超えている。
レンズは、AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VRで手持ち。

この日が初めての野外テストであった。
結論からいうと、D7200はネイチャーに適している。
なによりシャッターが小気味よく手持ちでのブレ感が少ない。
ジッツオを持っていたが、一度も使わなかった。
緑と水面の再現性も自然だ。

スタンダード
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ニュートラル
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ビビッド
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ポートレート
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風景
D7N_0317l.jpg

フラット
D7N_0317fl.jpg

ポートレート・ナチュラル(オリジナルのピクチャスタイル)
D7N_0317pt-na.jpg

フラット・リッチカラー(オリジナル)
D7N_0317fl-ri.jpg

風景(階調重視)(オリジナル)
D7N_0317la-low.jpg


手前味噌ではないが、
この場面では、フラット・リッチカラーか風景(階調重視)を取りたい。
タグ:D7200

2016年07月25日

クリプトンKX-1 購入3か月の調整と変化


当初から素性の良さを見せていたクリプトン KX-1

さらに調整で追い込んでみた。

当初の機材は以下のとおり。
プリメイン ビクターAX-V1
CDプレーヤー ビクターXL-V1
ADプレーヤー ヤマハ GT-2000(ピュアストレートYSA-2で調整予定)
SPケーブル 江川三郎工房 6N無方向性ケーブル

機材は、アンプとCDをビクターの後で使っていたオンキヨーコンビに入れ替えた。
プリメイン オンキヨー A-1VL
CDプレーヤー オンキヨー C-1VL
(入れ替え時に極性は追い込んでいる)
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艶やかで軽やかに鳴らすビクターでも良かったが、
低域の制動と中域の肥大傾向を解決するため、
制動力のあるデジタルアンプが良いと仮定して
何度か入れ替え視聴して決定。
(ピアノの打鍵音はビクターが現実感がある。打鍵とそのあとの短い余韻、ペダリングの響きはデジタルでは整然としているが、アナログアンプが再現性が高いように感じる。意外に声はデジタルが良かった)

3か月のチューニングは以下のとおり。
SPケーブルは、ヨドバシマルティメディア館で
イギリスのQED製を2種類見繕ってきて、
何度か江川ケーブルと聞き比べた。
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一時は、江川+QEDの2本駆動に落ち着きかけたが、
迫力はあるが、音像と音場が一体となったサイボーグのような音に違和感があり
江川ケーブルの純度の高い再生に落ち着いた。
細いケーブルながら音像は決してこじんまりとせず
スピーカーの前面に展開する。
その一方で音場の響きはスピーカーの外まで拡散する。
濃淡の描き分けがKX-1の特徴で
その再生音を活かすのは江川ケーブルである。
(残念ながら江川氏のご逝去で現在では入手はできない)

QEDの2種類では、廉価なQED Performance Originalがバランスが良かった。
広域から低域までトランジェントと音場が揃っており
違和感なく音楽を聴かせる。
(ほとんどのオーディオ装置はこの1メートル1,000円程度のケーブルで十分だろう)。
ケーブルに尖った個性は邪魔になる。
ただし、江川ケーブルがケーブルの存在を感じさせない再生音と比べることはできない。
廉価なケーブルは、限られた予算で良い結果をもたらすことが多い。
必要最小限の潔さが単純で合理性のある構造となって音に良い結果をもたらしている。
(取って付けたような太いケーブルは滑稽に見える。ケーブルで付帯音をつくりだす?)

そこでソニーの廉価なピンケーブルも揃えた。
0.5メートルで数百円だが、
2014年に生産中止となってからはプレミアム価格となっている。
それでもいまのうちに入手しておくのが良いと思う。
SONY ピンプラグ(×2)とピンプラグ(×2)0.5m RK-C305


SPケーブルは圧着用のY端子で圧着した。
オーディオ用と称するYラグは使わなかった。
オーディオ用のY端子が意味がないことは
SPケーブルやラインケーブルとおわかりのとおり。
(高価であるための複雑な構造が音の肥大、濁りをもたらす怖れ)
Y端子圧着処理によって経年変化の影響を受けにくいこと、
SPケーブルを何度も変えてみたいこと、
細い銅線はY端子で束ねるほうが好結果であると判断したことによる。
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工具と電材を持っていれば、経年変化とともに自分で何度でも圧着し直せる。
使った素材は、国産の電材専門メーカーであるニチフ製である。
江川三郎ケーブルは2Y−8規格を、QEDの太い方は5.5Y−8が適合した。
(5.5Y-6は一般的なサイズだが、アンプやSP端子を見ると付かなかった可能性が高い)
ニチフの5.5Y-8は特殊サイズということで受注生産扱いのため、
店頭で見つけにくいが取り寄せで入手できる。
ともに100個入って1,000円台である。
購入の際には、端子の太さのビニール皮膜、圧着用の工具もお忘れなく。


南海地震を想定してスピーカーを固定したいが、
良い方法が見つからない。
スピーカー台はクリプトン純正のSD-1を使っている。
平面製の良い仕上げであるためか
スピーカーに触れるだけでくるりと動いてしまう。
(接触でスピーカーを落下させかねない)
震度3〜4程度の揺れにも不安がある。
そこで、再生音と半固定を両立させる方策を考えて
次の方法にたどりついた。
それは、次のアクセサリーを使う方法である。

ベスト マットマン7+ 5ミリ厚 丸 20ミリ 4個入り 30ミリ 6個入り 0524-001

DIYや家電量販店に類似品は置いてあるが
可塑剤を含まないことでプラスチック(塗装面)に影響を与えないのは
この材質(イソブチレン樹脂)だけのようだ。龍田化学が製造元である。
使う前に低域の反応が鈍くなる、高域が丸くなることと予想していた。
そこで1か月かけて、「あり」と「なし」を聞き比べた。

SWOT分析風に書くとKX-1の強み弱みはこうなる。
【強み】
・中域が痩せない。
・高域が伸びているが、うるさくない。
・低域の音程が明確でよく弾む。
・歪み感が極小で音楽に浸れる。
・密閉型で経年変化に強い。

【弱み】
・音質の問題ではないが、SP台に固定できず動きやすい。

【機会】
・アナログレコードなど存在感のある音源をふくよかに鳴らしたい。
・ハイレゾなど超高域まで伸びたソースで可聴帯域内を円滑に鳴らしたい。

【脅威】
・何も対策をしなければ、中程度の揺れでSPが落下する。

この強みを活かし弱みを解決しつつ、
古い音源や新しい方式に対応していく調整を行えば良いわけだ。

この解決に役立ったのがこれである。

音の傾向を記すと
・ばらばらに拡散していた音像がまとまり、音の立ち上がりが円滑になる。
・低域はやや有機的に弾むようになる。
・高域はエネルギーがまとまることで存在感が出てくる。

ありとなしで、どちらが音楽を聴きたいか(聴く時間が長くなるか)。
短期間のAB比較よりも長期的な反応を探ることで結論を間違わない。
(店頭での試聴と違って自分の機材を自室で鳴らせるので長期順応を見るのが適切)

テストのときはスピーカー側のビニールをはがさずに運用する。
自分のSPに必要と判断した時点でビニールを剥がして半固定すれば良い。
(この状態では相当の力で動かない。震度7対応とうたっているのは頷ける)
設置の際は、前方に直径30o厚さ5oの丸形を2枚(ユニットが付いて重い)、後方に1枚使用する。
今度はSP台の固定が必要となるが、
まずは、SP台とラックを梱包用ビニール紐で縛り付けて解決。
(見た目は悪いが、かなりの揺れに耐えるはず)


調整後、さらに音楽を聴く時間が増えている。
ベートーヴェンのピアノソナタ集を異なるアーティストで3セット購入するなど
音楽に浸っている。
(ベートーヴェンについてはまた書きたい)
D7N_0129.jpg

KX-1からの再生音は、立ち上がり立ち下がりが早く歪み感がないため
耳にやさしい。
どれだけ音量を上げてもうるさくならない。
耳の感度の良い人間が「うるさくない」「長時間浸れる」というのは
ホンモノのスピーカーの証しである。
(なお、忠実度の低い再生音もかえって疲れる。耳が聞き取ろうと無意識に脳を使うためではないかと推測)
高額なSPが良いとは限らない。
評論家が絶賛するあの新素材のSPにも試聴の結果、だめ出しをしている。

KX-1にはハイテク素材ではなく
長く使われている自然素材が使われている。
ツイーターは絹を成形したもので
中央のプラグは金属というメカニカル2ウェイである。
物理的に理にかなう方式と思う。
KRYPTON KX-1のリングダイアフラム・ツイーター
D7N_0105-1.jpg

ウーファーは、ドイツの針葉樹である。
クルトミューラー社が長年にわたって管理する
針葉樹の森からつくられた20センチ径のパルプコーンを
17センチに切り取る方式で材料の歪みを避けている。
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生きていくのに音楽が欠かせない人には、
KRYPTON KX-1は良い選択肢のスピーカーである。
クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1


追記

余談だが、友人がテクニクスの世界300台限定のSL-1200GAEが購入できたとのことで
その調整に行き、実際に音も聴いてみた。
DSCF6852-1.jpg

端正な音である。
それを、あのマークレビンソンのMCヘッドアンプが手本にしたという
フィデリックスの天才技術者が開発したフォノイコライザーで聴いている。
まさに鬼に金棒の入口である。
DSCF6842-2.jpg

DSCF6847-1.jpg

音の印象だが、SN感はCDのようであり、
CDと比べても音の細やかさとかたまり感のいずれも上回る。
アナログの良さが感じられた。
DSCF6878-2.jpg

テクニクスは精巧なメカの操作感で
オリジナルのDJ仕様の1200とは比べられない優秀なプレーヤーだが、
もっと音楽をうたわせたい人は
レガなどイギリス産の廉価なベルトドライブが良いかもしれない。



タグ:KX-1

2016年07月22日

ニコンD7200 すべてのピクチャーコントロールのJPEG画像を並べてみた


天気は晴天の午前。
手持ちなので構図は異なるのと手ぶれ状況があるけれど
色の傾向を見るには十分。
晴天でコントラストが高く色飽和しやすい被写体なので
これだけですべてを判断することはできない。
例えば、曇天の日に低コントラストの被写体だと
「風景」が適しているかもしれない、といった具合に。
それと、自作の色「フラット・リッチカラー」と「ポートレート・ナチュラル」を加えてある。

スタンダード
D7N_0068sts.jpg

ニュートラル
D7N_0069ns.jpg

ビビッド
D7N_0070vs.jpg

ポートレート
D7N_0071pts.jpg

風景
D7N_0072lans.jpg

フラット
D7N_0073fls.jpg

フラット・リッチカラー(オリジナル)
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ポートレート・ナチュラル(オリジナル)…本来は女性の肌用だが、花を乙女に見立てて。
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ピクチャーコントロールをプレビューボタンに割り付けて呼び出せるようにした。
肉眼では蛍光色の混じったような鮮やかすぎるのが本来の被写体の色である。
スタンダードは忠実性に見映えを加味した仕上りであることがわかる。
この被写体に限ればビビッドや風景は飽和している。
RAWは複雑な光でなければ必要ないと判断できる。
D7200は良いカメラである。

Nikon デジタル一眼レフカメラ D7200


タグ:D7200

2016年07月21日

5年ぶりに一眼レフを買い替えた ニコンD7200 これほどまでによくできているとは


以前の銀塩カメラはミノルタのX700で20年近く使っていた。
当時は篠山紀信や三好和義が撮影していたもの。
小型軽量で明るくピントが合わせやすいファインダーは比類がない。
カメラを次々と買い替えたことは一度もなかったが、
5年間愛用したニコンD7000を買い替えることにした。
(中古で買われる方、程度は極上です。安心して使ってください)
理由は、同じAPS-C16メガセンサーのフジX-E2と比べて
像の鮮鋭度で劣るから。

レンズ性能、センサー性能は互角なのだが、
電子シャッターを備えたフジとは風景でも接近でも明らかな差が付いた。
このことから、AFの精度と
ミラーショックを含めたシャッター機構のブレと仮説を立てた。
ニコンでもジッツオ3型に固定して
リモコン+ミラーアップ+コントラストAFで合せると良かった。
(それはいつもいつもできないでしょう)
フジは、MFモードでフォーカスリングを回すと
焦点像が拡大されてピント合わせがやりやすい。
望遠やマクロは一眼レフの特徴が活かせるはずだが
実際には、撮像面でピントを合わせられて、
しかもその画面が瞬時に拡大できる
ミラーレスに軍配が上がるかもしれない。

ところがフジからは使いたい望遠レンズが出てこない。
レンズのロードマップがこの夏に更新されたが、
巨大で高価な望遠(しかも接近できない)か、
画質がいまひとつの望遠しかない。

手元にあるAF-S NIKKOR 70-200mm f/4Gの可能性とともに
一眼レフを信じてみよう、と思った。
(おそらく最後の一眼レフとなりそう。もうミラーレス実用時代が始まっているから)
そこでD7000を下取りしてD7200を購入した。
(カメラを下取りして差額購入するのは初めて)
近所のカメラ店で差額は6万円程度に収まった。
→ Nikon デジタル一眼レフカメラ D7200


さっそくセッティングとカスタマイズと試写を行って驚いた。
手持ち撮影での像の鮮鋭度が格段に違う。
マクロの手持ちで、いままで撮れていないぶれない写真が撮れる。
高画素化とローパスフィルターがないということもあるだろうが
ニコンはD7000で弱点とされたシャッター機構に手を入れていたのだ。
同時にAFの速度や精度も改善されていることが試写からわかった。
(EOSは選択肢に上がらなかった。いまのレンズ資産を活かすこともあるが、企業の姿勢に共感できないのと、色再現は鮮やかであっても深みがなく地に足が付いていない気がする。おしゃれな山野草やつくられたポートレートではない現実感のある画面が欲しい。さらにセンサー性能やカメラの仕上げでニコンと差が付いていると考えた。キヤノンが好きな人は透明感や明度が求められる広告写真など用途と趣味が違うだろうから、それはそれで良い選択)

色再現性もJPEGで納得できる。
特に葉の緑の再現の忠実度が上がっている。
(青みがかるフジのプロビアよりも緑の再現性は高いと思う)
D7200ではピクチャーコントロールもカスタマイズして登録した。
ひとつは、ポートレート用に。フジの肌のような色合いを再現できた。
もうひとつは、素材重視のフラットをベースに、
コントラスト、明瞭度、色の濃さを上げたもの。
光の強弱が広い状況であっても白飛びやつぶれを防ぎつつ、
色の飽和しがちな赤紫の花などをやわらかく美しく撮れる。
階調も色の再現性もスタンダードより優れていると思えるパラメータができた。

上から順に以下のJPEGで3種類を比較(曇天なのでスタンダードのコントラストが高いことが目立たないかもしれない)
・スタンダード(ニコン標準)
・ポートレード・ナチュラル(肌の再現性をフジに近づけたポートレート用のオリジナル)
・フラット・リッチカラー(階調をやわらかく再現しながら色と光を豊かに集めるオリジナル)
D7N_0068st.jpg

D7N_0075pr-nat.jpg

D7N_0074fl-rich.jpg

(縮小したので差がわかりにくいかもしれない)
あとは、彩度を押さえつつコントラストがやや堅めで露出を切り詰めた渋い表現、
花の光を幻想的に明度をやや上げてパステル調で再現するプロファイルを作成する予定。

光学ファインダーの良さはシャッターチャンスを逃しにくい点にある。
(長年それを通して場面を見てきたから)
そして迅速なAFはブレの軽減にも役立つ。
人間が動きを止められるのは意識をした瞬間なので
写す(動きを止める)と思ってシャッターを押したら
そこからAFが動いて(タイムラグの間に身体が動いてしまう)
さらに一度シャッター閉じて開いてまた閉じるという
ミラーレスのシャッターにも違和感を憶えるかもしれない。

X-E2でも、親指AF(または予めピントを合わせたMF)で
フォーカシングとシャッターの動作を分けたうえで、
電子シャッターで切れば問題は生じないのだが。

→ FUJIFILM ミラーレス一眼 X-Pro2 ボディ X-Pro2

→ FUJIFILM ミラーレス一眼 X-T2 ボディ X-T2-B


D7200では、親指AFでの運用と相まって花から花へせわしなく飛ぶ蝶など
フジでは撮れない被写体をねらっていきたい。
レンズは望遠(AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR)と
マクロ(AF-S Micro 60mm f/2.8G)の2本だけでいい。
フジとニコン、どちらが良いか、
ミラーレスと一眼、優劣は?などと考えることなく
四国と向き合う道具としてつきあっていきたい。

→ Nikon デジタル一眼レフカメラ D7200

→ Nikon 望遠ズームレンズ AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR フルサイズ対応

→ Nikon 単焦点マイクロレンズ AF-S Micro 60mm f/2.8G ED フルサイズ対応

(この2本はフジでは代替ができないものと思う。しかもレンズは購入した価格からかなり上がっている。発売直後を除いてレンズ価格は下落することはなく、むしろ上昇傾向にあるようだ)

タグ:D7200

2016年05月29日

クリプトンKX-1 もうスピーカーはこれでいい


音楽を聴くことが生きる時間をどれだけ豊かにしてくれるだろう。

10数年ぶりにスピーカーを買おうと、出張の折りに秋葉原のヨドバシに立ち寄った。
かつてはどこの県内でも見かけたオーディオ専門店が閉店され
比較試聴ができる店が少なくなっている。
そこで購入したのは、クリプトンのKX-1というスピーカー。
(正確に言うと店頭で聴いてヨドバシコムのインターネットで購入)
 → クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

クリプトンなんて聞いたことがないメーカーと思う方は、
20年、30年前に、喫茶店やレコード店の店頭に置かれて
妙なる音色を奏でていたビクターのSX-3の設計者が
いまの時代に送り出したもの、といえばおわかり?
(それにしてもケンウッド、ビクターのオーディオ部門が健在であったらと…)

ドイツのクルトミューラーコーンと口径の大きなソフトドームを
密閉型のキャビネットにマウントした2ウェイで
弦楽器は特に実在感と品位の高い再生をした。
キャロル・キングや日本のフォークロックも心地よく
適度な艶と適度な重厚感を持ちながらもさわやかに鳴った。
学校の近くの喫茶店で同級生の女の子と過ごした時間、
彼女がどんな服を着ていたかは覚えていないけれど
ビクターSX-3の奏でる音が部屋を甘酸っぱく漂っていた。


ぼくは耳がいいので、知らないソースで、知らないアンプで
ほんの十数秒鳴らしただけで音の素性を掴める。
(例えば電源プラグの逆相感は、差し替えて比べなくてもわかる。逆相特有の音のとげとげしさ、低域が痩せて中域の密度が落ちるさまは隣の部屋でもわかる)

ヨドバシでの視聴第一候補に挙げていたクリプトンKX-1は、
一聴して良さがわかった。
中域がいいから声が太くも細くもならず、自然にうたう。
高域、低域も揃っていて反応が早い。
だから歪み感がない。
しかし慌てることはない。
DSCF4987-1.jpg

Stirling Broadcast LS-3/5aという今日のBBCモニターも悪くなかった。
けれど、どこか素材の響きがある。
声はいいのだが、ピアノの音の抜けがもうひとつ。
スピーカーから音が離れて欲しい感じ。

ソニーの同クラスのツイーター3つ目仕様は
音の輪郭、実在感が掴みにくい。
(上級機はツイーター1個だが、むしろこちらが実在感があって良い)

ダリのメヌエットはよくできた製品と思った。
音楽が艶やかにうたう。
ただ、ダリの上級機は、個性がさらに強くなって(厚化粧)
音楽を覆い隠してしまいそう。

ウィーンアコースティックのハイドンも悪くなかった。
特に深夜に声ものを聞けば、空間に明瞭に浮かび上がることが予想できた。
(音楽を聴くのは仕事を終えてからなので深夜になる。小音量なのだ)

そんななかでKX-1は国産らしからぬ軽やかでよくうたう。
声は浮かび上がり、ピアノは打鍵音と響きのバランスがいい。
いつも視聴ではどこか物足りない(価格は関係ない)ものだが
このスピーカーはそれがなかった。迷いなく即決。
DSCF4951-1.jpg

数倍も高価で世界的に話題のB社の新素材のスピーカーなどと比べても
音楽の濃淡はむしろ廉価なKX-1の表現が優れている。

スピーカーを固定して、今度はアンプも視聴してみた。

まずはマランツPM-11S3。
繊細さとふくよかさ。
しかも忠実度が高い再生で違和感がない。
セパレートのないマランツでは最上級機であり、
ヒエラルキーの制約がないからか伸びやかに鳴っている。
でも、デザインがなじめないのと、
音量を絞ったときに音楽が遠のいてしまう。
(電子ボリュームの操作感も違和感がある)
ただしフォノイコライザーは良いモノが入っているように感じる。

DENONの2000シリーズ。
太くて鈍重。音像が肥大化して音楽が動脈硬化を起こしているような。
かつて、デンオンのPMA-940という69,800円のプリメインを、
ダイヤトーンP610DBアルニコの16センチフルレンジを
自作のフロントバッフルのみで組み上げて鳴らしていた。
(低域の空振りを低減するだけのバッフルなので箱鳴りはないが、トーンコントロールで低域を増強する)
アンプ内を清掃するとき、
コンデンサーなどの部品の位置を数o動かしただけで
音が激変する驚愕の事実を知ったのもこの頃である。

あのときの実物大の現実感と介在物のない浮遊感は成果だと思っている。
その後、ヤマハのA-2000aを導入したが、1/3の価格のデンオンの音像の実在感が優った。
こんなはずではと、試行錯誤を行い、
MCカートをMM入力で受けてゲインを減らし、
プリアウトとメインインを直結して聴いていた。
音を悪化させる可変抵抗を通らないのだが、
フラットアンプも飛ばしてゲインを抑えて
ヴォリューム全快相当でも実用的な音量で再生できる。
(レコードに針を降ろしてからプリとメインを直結する操作が必要である。間違ってライン入力でこれをやるとスピーカーを飛ばしてしまうだろう)
結果は、この世のものとは思えない純度の高い、アンプの存在を感じさせない実在感のある
艶やかな空気感が空間に波紋を広げていく体験を味わった。
こうなれば、A級で歪み低減回路(ZDR)を搭載しているこのアンプは
空気がそよぐような豊潤で澄んだ音を見せてくれる。

だから、久しぶりにピュアオーディオに戻ったヤマハに期待する気持ちはあった。
そこでヤマハのA-S1100、A-S2100。

視聴の感想の前にこれまで使ったヤマハのアンプの印象を。
小学生の頃、よく聞いていたのは、
ヴィラ=ロボスの5つの前奏曲やソルの魔笛の主題による変奏曲といった
スペインのギター音楽だった(ませがき)。
その頃、評判だったパイオニアのシスコンを近所の電気店が持ちこんだのだが、
父もぼくも納得できなかった。
そこで販売店がしぶしぶヤマハに入れ替えたとき、
自然な楽器の再生にうなずいた。
こうしてプリメインアンプCA-400と
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/amp/ca-400.html
ベルトドライブのプレーヤーYP-311、
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/player/yp-311.html
NS430の組み合わせである。
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/speaker/ns-430.html

その後、アンプはA-5、A-6、A-6a、A-2000aとヤマハを使ってきた。
ぱっと聴いて感じたのは、現在の製品は音のチューニングが必要だ。
2100は、声の密度が低い。中域のエネルギーと解像度が不足して曇っている。
低域は膨らみ、中高域が突っ張る。これでは声ものは聞けない。
1100は、上級機より資質はむしろ良いが、腰が高く音楽に入り込めないし長時間浸りにくい
(もちろん、最新機種の音が好きであれば構わない。個人の趣味ということで書いているのでオーナーは気になさらないよう)。
でも、音はもっと練り上げて欲しいのだ。

ソニーTA-A1ES
A級で小出力でシンプルなデザインと、音の良さそうな顔をしている。
音楽があまりうたわないけれど、
特定の帯域や音調に癖がないからじっくりと浸れる要素がある。
噛むと味わいが増すスルメのようなアンプかも。

ラックスマン 505シリーズ、507シリーズ
507シリーズは友人宅に先代がある。
一聴して良い音のように感じられる。
艶やかで低域の解像度が高いため音楽の土台がしっかりしている。
けれど、声が風邪を引いたようなハスキー調はいただけない。
むしろ音楽に浸れるのは505シリーズのほうである。
いま使っているビクターのアンプAX-V1と似た音調を感じる。
A級のシリーズは聞いたことがないからわからないが、
新しい550シリーズは悪くなさそう。
ただし深夜に聴きながら寝入ってしまう使い方では
朝まで付けっぱなしは良くないだろう。
ラックもゆとりがないので発熱の大きなA級は候補にはできない。
 
DENON 2500シリーズ
ヨドバシで最初に鳴らしたときにこのアンプがつながっていた。
スピーカーや環境、ソースが変わっても
アンプの傾向はわかる。
なぜならアンプは音の質(傾向)を左右する。
すぐに感じたのは、スピーカーの資質を明確に鳴らすアンプということ。
DENONが鳴っているとは思わなかった。
2000シリーズとはまるで音調が異なるから。
DENON プリメインアンプ プレミアムシルバー PMA-2500NESP

例えば、PMA-2500NEと同じ価格帯のヤマハの2100と比べてみたらいい。
どちらが声が自然に再生できているか、
どちらが音楽の実在感や凝縮感があるか。
なにかしら社内的に大きな変化があったのではと思ったら
音決めの担当者が変わっていた。
デザインは相変わらず野暮ったいが、注目のアンプである。


自宅にKX-1が配達された。
部屋は12畳の洋室で、スピーカーの背面は壁から1メートル離している。
SPケーブルは、江川三郎氏製作による細い線を使用。
自然な響きが特徴。
クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

DSCF4993-1.jpg

アンプは参考までに聞いたが、やはり現状のビクターでいい。
AX-V1は、マホガニー無垢のスピーカーSX-V1を鳴らすシステムである。
(Web上に動画を見つけた。https://www.youtube.com/watch?v=rkUw7gx-5qQ

耳は良くて音楽が大好きだけれど
オーディオマニアの装置には違和感を覚えるので
このHMVシステム一式にした。

SX-V1はいまも使っている
DSCF5009-1.jpg

控えめながら上品なデザイン、リモコンで調整できること、場所を取らないこともいい。
スピーカーSX-V1は、キャビネットを手で叩くと
アフリカの太鼓のように美しく響く。
いまの時代は木が稀少で、
このような製品は数百万円でも見かけない。
それを例のクルトミューラーコーンと絹のソフトドームを配した2ウェイで
しかも高低のユニットは内部で金属ダイカストでメカニカルに連結されている。
このつくりは正しいと判断して不見転で買った一式なのだ。
(このコンセプトでビクターが出したら売れる。価格は100万円を越えるかもしれないが)
実際に、嫌な音は一切出さずに、マホガニーの響きに音楽を委ねて届けてくれる。
それは心地よい。
けれど、弦やピアノの打鍵の現実感や声の輪郭が欲しいと思うことがある。
その役割を、同じDNAを持つクリプトンKX-1に託す。
http://audio-heritage.jp/VICTOR/Speaker/sx-v1-m.html

KX-1を聴いてみよう。
クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

HJリムのベートーヴェンのピアノソナタ。
目の前に楽器をフルオープンして
彼女が微妙にペダリングを行っていることが見える。
それでいてまったくうるさくない。

カサンドラ・ウィルソンのジャズボーカル。
楽器のリアリティに埋没することなく声が豊かに浮かび上がる。
聴いている本人が感動してしまった。

スペインのギターを奏でても違和感がまったくない。
弦の再生は難しい。
特にハイエンドスピーカーは得てして自らのゴージャズな響きに強引に連れ去って
かえって現実感に乏しくなるが、
KX-1は身の丈でありながら目の前のリアリティがある。

ガムラン。ジャワ島の民族音楽は、
KX-1のリングツイーターがもっとも得意とするもの。
このスピーカーの美点は光が散乱するがごとく部屋いっぱいに広がる音場感だが、
さまざまな金属の響きが少しもうるさくなく万華鏡のように再現される。
これは耳のごちそうだ。

70年代の古い日本のポップス、例えば、キャンディーズ、浅田美代子なども楽しく再生される。

80年代から90年代にかけてアイドルは
クリエイターの結集のような出来映えのアルバムを産出した。
松田聖子や菊地桃子のアルバムもそうである。
音楽が弾むけれどまったくうるさくなく、
声がスピーカーから離れて浮かび上がる。
線は太くもならず細くもならない。このしっとりとして存在感のある中域が奇跡だ。

密閉型なので低域に力があり、音程がよくわかる。
F特だけみれば、やや中高域が持ち上がっているが、
聴感上は逆にピラミッド型。
それは、ネットワークが良質でクロスオーバーがうまく行っていること、
リングツイーターの歪み感が皆無なため、
うるささがまったくないことによる。
端正であることは音像の現実感を持つ。実はこれは大切なこと。
アコースティックヴァイオリンがシンセサイザーに聞こえたり
箱庭のなかでこじんまりと鳴っていると飽きてしまう。
リアリティは必要なのだ。
それでいて、スピーカーの外に広がる豊麗な音場は心の癒しとなる。

タイムドメインライトは、スピーカーのモノサシである。
これはパソコンで仕事をしているときに鳴らしている。
この機種でなければ再生できない独自の世界観を持っている
(数百万円の機種もこの機種に勝てない部分を持っている)。
でも長時間聞いていると疲れる。
それはユニットの持つ歪み(それは価格なりのところだろう)や
低域の支えが足りないことによるだろう。
KX-1はタイムドメインの欠点をカバーしつつ、
バスレフの響きで遅延させないので正確な音像、音場の再生ができている。
なお、サランネットははずすとさらにミラクルな音場が楽しめる。

台に置いて10数年前のアンプにつないだだけで満足に鳴りだした。
もうスピーカーは卒業だと思った。
スピーカー台はメーカー推薦のSD-1である。

上級のKX-3Pと比べると、KX-1が音楽が積極的に鳴るし、
音の密度が高い部分とそうでない漂う部分をうまく描き分ける。
コストダウンの部分(磁石とキャビネット、ケーブル端子)が
構造を簡素化させたり、鳴らしやすさを引き出した(つまり設計がこなれてきた)と考える。

数百万円のハイエンド製品となると、
どこをとっても密度が高く一聴してすばらしく鳴るけれど飽きる
(これをハイエンド製品の嫌みと呼んでいる)。
例外は、ウィーンアコースティックのハイエンドだけだった。

KX-1は休みの日に半日ぐらい続けて音楽を聴いてみたが、
まったく疲れない(聞き続けて飽きないことがその証し)。
よく弾みよくうたうけれど歪み感が皆無で
バスレフのように低域に固有の共振が濁らせて音楽を支配するようなことがない。
もっと鳴らそうと思ったらアンプの追加(交換ではない)が考えられるけど
さきの視聴のように現在のプリメインにはこれぞというアンプがない。
ビクターAX-V1のようなアンプは世の中に存在しなくなった。
洗練されたデザイン(マランツやDENONはなぜ存在感を訴求するのだろう)で
なめらかで嫌な音は一切出さず、軽快に音楽が弾んでうたう。
ハイエンドオーディオが絶叫するところを軽やかに鳴らすので
聴き疲れないし、実は音楽の濃淡が味わえていい。
マシュマロのようにふわふわしているように見えて、音楽の大切な骨格は実は明快だ。
ダイナミックレンジでははかれない、音像と音場の比較(音像/音場比)は
実はタイムドメイン方式の独壇場だが、
こんアンプも相当いいところを行っている。
ビクターは、いま一度この音のコンセプトでHMVオーディオを復活させられないだろうか。
(そのために出資しても良いと思う人は少なくないと思う)

買い足すとしたら、ヘーゲルあたりのプリメインが良いかもしれないが、
実は音は聞いたことがない。
あるいは、数万円のデジタルアンプに掘り出し物があるかもしれない。
いずれにしても当面はビクターで鳴らしていく。

これ以上のスピーカーがあるとは思えないし、あっても興味がない。
伝統の自然素材を使いこなしてハイレゾ対応していること、
そこに日本人の感性が活かされているように感じる。
音楽はあくまで伸びやかに鳴る。
クリプトンKX-1は
音楽が好きなぼくの終のスピーカーとなるような気がする。



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空と海

at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽