2016年05月29日

クリプトンKX-1 もうスピーカーはこれでいい


音楽を聴くことが生きる時間をどれだけ豊かにしてくれるだろう。

10数年ぶりにスピーカーを買おうと、出張の折りに秋葉原のヨドバシに立ち寄った。
かつてはどこの県内でも見かけたオーディオ専門店が閉店され
比較試聴ができる店が少なくなっている。
そこで購入したのは、クリプトンのKX-1というスピーカー。
(正確に言うと店頭で聴いてヨドバシコムのインターネットで購入)
 → クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

クリプトンなんて聞いたことがないメーカーと思う方は、
20年、30年前に、喫茶店やレコード店の店頭に置かれて
妙なる音色を奏でていたビクターのSX-3の設計者が
いまの時代に送り出したもの、といえばおわかり?
(それにしてもケンウッド、ビクターのオーディオ部門が健在であったらと…)

ドイツのクルトミューラーコーンと口径の大きなソフトドームを
密閉型のキャビネットにマウントした2ウェイで
弦楽器は特に実在感と品位の高い再生をした。
キャロル・キングや日本のフォークロックも心地よく
適度な艶と適度な重厚感を持ちながらもさわやかに鳴った。
学校の近くの喫茶店で同級生の女の子と過ごした時間、
彼女がどんな服を着ていたかは覚えていないけれど
ビクターSX-3の奏でる音が部屋を甘酸っぱく漂っていた。


ぼくは耳がいいので、知らないソースで、知らないアンプで
ほんの十数秒鳴らしただけで音の素性を掴める。
(例えば電源プラグの逆相感は、差し替えて比べなくてもわかる。逆相特有の音のとげとげしさ、低域が痩せて中域の密度が落ちるさまは隣の部屋でもわかる)

ヨドバシでの視聴第一候補に挙げていたクリプトンKX-1は、
一聴して良さがわかった。
中域がいいから声が太くも細くもならず、自然にうたう。
高域、低域も揃っていて反応が早い。
だから歪み感がない。
しかし慌てることはない。
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Stirling Broadcast LS-3/5aという今日のBBCモニターも悪くなかった。
けれど、どこか素材の響きがある。
声はいいのだが、ピアノの音の抜けがもうひとつ。
スピーカーから音が離れて欲しい感じ。

ソニーの同クラスのツイーター3つ目仕様は
音の輪郭、実在感が掴みにくい。
(上級機はツイーター1個だが、むしろこちらが実在感があって良い)

ダリのメヌエットはよくできた製品と思った。
音楽が艶やかにうたう。
ただ、ダリの上級機は、個性がさらに強くなって(厚化粧)
音楽を覆い隠してしまいそう。

ウィーンアコースティックのハイドンも悪くなかった。
特に深夜に声ものを聞けば、空間に明瞭に浮かび上がることが予想できた。
(音楽を聴くのは仕事を終えてからなので深夜になる。小音量なのだ)

そんななかでKX-1は国産らしからぬ軽やかでよくうたう。
声は浮かび上がり、ピアノは打鍵音と響きのバランスがいい。
いつも視聴ではどこか物足りない(価格は関係ない)ものだが
このスピーカーはそれがなかった。迷いなく即決。
DSCF4951-1.jpg

数倍も高価で世界的に話題のB社の新素材のスピーカーなどと比べても
音楽の濃淡はむしろ廉価なKX-1の表現が優れている。

スピーカーを固定して、今度はアンプも視聴してみた。

まずはマランツPM-11S3。
繊細さとふくよかさ。
しかも忠実度が高い再生で違和感がない。
セパレートのないマランツでは最上級機であり、
ヒエラルキーの制約がないからか伸びやかに鳴っている。
でも、デザインがなじめないのと、
音量を絞ったときに音楽が遠のいてしまう。
(電子ボリュームの操作感も違和感がある)
ただしフォノイコライザーは良いモノが入っているように感じる。

DENONの2000シリーズ。
太くて鈍重。音像が肥大化して音楽が動脈硬化を起こしているような。
かつて、デンオンのPMA-940という69,800円のプリメインを、
ダイヤトーンP610DBアルニコの16センチフルレンジを
自作のフロントバッフルのみで組み上げて鳴らしていた。
(低域の空振りを低減するだけのバッフルなので箱鳴りはないが、トーンコントロールで低域を増強する)
アンプ内を清掃するとき、
コンデンサーなどの部品の位置を数o動かしただけで
音が激変する驚愕の事実を知ったのもこの頃である。

あのときの実物大の現実感と介在物のない浮遊感は成果だと思っている。
その後、ヤマハのA-2000aを導入したが、1/3の価格のデンオンの音像の実在感が優った。
こんなはずではと、試行錯誤を行い、
MCカートをMM入力で受けてゲインを減らし、
プリアウトとメインインを直結して聴いていた。
音を悪化させる可変抵抗を通らないのだが、
フラットアンプも飛ばしてゲインを抑えて
ヴォリューム全快相当でも実用的な音量で再生できる。
(レコードに針を降ろしてからプリとメインを直結する操作が必要である。間違ってライン入力でこれをやるとスピーカーを飛ばしてしまうだろう)
結果は、この世のものとは思えない純度の高い、アンプの存在を感じさせない実在感のある
艶やかな空気感が空間に波紋を広げていく体験を味わった。
こうなれば、A級で歪み低減回路(ZDR)を搭載しているこのアンプは
空気がそよぐような豊潤で澄んだ音を見せてくれる。

だから、久しぶりにピュアオーディオに戻ったヤマハに期待する気持ちはあった。
そこでヤマハのA-S1100、A-S2100。

視聴の感想の前にこれまで使ったヤマハのアンプの印象を。
小学生の頃、よく聞いていたのは、
ヴィラ=ロボスの5つの前奏曲やソルの魔笛の主題による変奏曲といった
スペインのギター音楽だった(ませがき)。
その頃、評判だったパイオニアのシスコンを近所の電気店が持ちこんだのだが、
父もぼくも納得できなかった。
そこで販売店がしぶしぶヤマハに入れ替えたとき、
自然な楽器の再生にうなずいた。
こうしてプリメインアンプCA-400と
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/amp/ca-400.html
ベルトドライブのプレーヤーYP-311、
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/player/yp-311.html
NS430の組み合わせである。
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/speaker/ns-430.html

その後、アンプはA-5、A-6、A-6a、A-2000aとヤマハを使ってきた。
ぱっと聴いて感じたのは、現在の製品は音のチューニングが必要だ。
2100は、声の密度が低い。中域のエネルギーと解像度が不足して曇っている。
低域は膨らみ、中高域が突っ張る。これでは声ものは聞けない。
1100は、上級機より資質はむしろ良いが、腰が高く音楽に入り込めないし長時間浸りにくい
(もちろん、最新機種の音が好きであれば構わない。個人の趣味ということで書いているのでオーナーは気になさらないよう)。
でも、音はもっと練り上げて欲しいのだ。

ソニーTA-A1ES
A級で小出力でシンプルなデザインと、音の良さそうな顔をしている。
音楽があまりうたわないけれど、
特定の帯域や音調に癖がないからじっくりと浸れる要素がある。
噛むと味わいが増すスルメのようなアンプかも。

ラックスマン 505シリーズ、507シリーズ
507シリーズは友人宅に先代がある。
一聴して良い音のように感じられる。
艶やかで低域の解像度が高いため音楽の土台がしっかりしている。
けれど、声が風邪を引いたようなハスキー調はいただけない。
むしろ音楽に浸れるのは505シリーズのほうである。
いま使っているビクターのアンプAX-V1と似た音調を感じる。
A級のシリーズは聞いたことがないからわからないが、
新しい550シリーズは悪くなさそう。
L-550AXII http://www.luxman.co.jp/product/l-550ax2
ただし深夜に聴きながら寝入ってしまう使い方では
朝まで付けっぱなしは良くないだろう。
ラックもゆとりがないので発熱の大きなA級は候補にはできない。
 
DENON 2500シリーズ
ヨドバシで最初に鳴らしたときにこのアンプがつながっていた。
スピーカーや環境、ソースが変わっても
アンプの傾向はわかる。
なぜならアンプは音の質(傾向)を左右する。
すぐに感じたのは、スピーカーの資質を明確に鳴らすアンプということ。
DENONが鳴っているとは思わなかった。
2000シリーズとはまるで音調が異なるから。
DENON プリメインアンプ プレミアムシルバー PMA-2500NESP

例えば、PMA-2500NEと同じ価格帯のヤマハの2100と比べてみたらいい。
どちらが声が自然に再生できているか、
どちらが音楽の実在感や凝縮感があるか。
なにかしら社内的に大きな変化があったのではと思ったら
音決めの担当者が変わっていた。
デザインは相変わらず野暮ったいが、注目のアンプである。


自宅にKX-1が配達された。
部屋は12畳の洋室で、スピーカーの背面は壁から1メートル離している。
SPケーブルは、江川三郎氏製作による細い線を使用。
自然な響きが特徴。
クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

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アンプは参考までに聞いたが、やはり現状のビクターでいい。
AX-V1は、マホガニー無垢のスピーカーSX-V1を鳴らすシステムである。
(Web上に動画を見つけた。https://www.youtube.com/watch?v=rkUw7gx-5qQ

耳は良くて音楽が大好きだけれど
オーディオマニアの装置には違和感を覚えるので
このHMVシステム一式にした。

SX-V1はいまも使っている
DSCF5009-1.jpg

控えめながら上品なデザイン、リモコンで調整できること、場所を取らないこともいい。
スピーカーSX-V1は、キャビネットを手で叩くと
アフリカの太鼓のように美しく響く。
いまの時代は木が稀少で、
このような製品は数百万円でも見かけない。
それを例のクルトミューラーコーンと絹のソフトドームを配した2ウェイで
しかも高低のユニットは内部で金属ダイカストでメカニカルに連結されている。
このつくりは正しいと判断して不見転で買った一式なのだ。
(このコンセプトでビクターが出したら売れる。価格は100万円を越えるかもしれないが)
実際に、嫌な音は一切出さずに、マホガニーの響きに音楽を委ねて届けてくれる。
それは心地よい。
けれど、弦やピアノの打鍵の現実感や声の輪郭が欲しいと思うことがある。
その役割を、同じDNAを持つクリプトンKX-1に託す。
http://audio-heritage.jp/VICTOR/Speaker/sx-v1-m.html
SX-V1開発悲話 http://catwerx.jp/SX-V1.php

KX-1を聴いてみよう。
クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

HJリムのベートーヴェンのピアノソナタ。
目の前に楽器をフルオープンして
彼女が微妙にペダリングを行っていることが見える。
それでいてまったくうるさくない。

カサンドラ・ウィルソンのジャズボーカル。
楽器のリアリティに埋没することなく声が豊かに浮かび上がる。
聴いている本人が感動してしまった。

スペインのギターを奏でても違和感がまったくない。
弦の再生は難しい。
特にハイエンドスピーカーは得てして自らのゴージャズな響きに強引に連れ去って
かえって現実感に乏しくなるが、
KX-1は身の丈でありながら目の前のリアリティがある。

ガムラン。ジャワ島の民族音楽は、
KX-1のリングツイーターがもっとも得意とするもの。
このスピーカーの美点は光が散乱するがごとく部屋いっぱいに広がる音場感だが、
さまざまな金属の響きが少しもうるさくなく万華鏡のように再現される。
これは耳のごちそうだ。

70年代の古い日本のポップス、例えば、キャンディーズ、浅田美代子なども楽しく再生される。

80年代から90年代にかけてアイドルは
クリエイターの結集のような出来映えのアルバムを産出した。
松田聖子や菊地桃子のアルバムもそうである。
音楽が弾むけれどまったくうるさくなく、
声がスピーカーから離れて浮かび上がる。
線は太くもならず細くもならない。このしっとりとして存在感のある中域が奇跡だ。

密閉型なので低域に力があり、音程がよくわかる。
F特だけみれば、やや中高域が持ち上がっているが、
聴感上は逆にピラミッド型。
それは、ネットワークが良質でクロスオーバーがうまく行っていること、
リングツイーターの歪み感が皆無なため、
うるささがまったくないことによる。
端正であることは音像の現実感を持つ。実はこれは大切なこと。
アコースティックヴァイオリンがシンセサイザーに聞こえたり
箱庭のなかでこじんまりと鳴っていると飽きてしまう。
リアリティは必要なのだ。
それでいて、スピーカーの外に広がる豊麗な音場は心の癒しとなる。

タイムドメインライトは、スピーカーのモノサシである。
これはパソコンで仕事をしているときに鳴らしている。
この機種でなければ再生できない独自の世界観を持っている
(数百万円の機種もこの機種に勝てない部分を持っている)。
でも長時間聞いていると疲れる。
それはユニットの持つ歪み(それは価格なりのところだろう)や
低域の支えが足りないことによるだろう。
KX-1はタイムドメインの欠点をカバーしつつ、
バスレフの響きで遅延させないので正確な音像、音場の再生ができている。
なお、サランネットははずすとさらにミラクルな音場が楽しめる。

台に置いて10数年前のアンプにつないだだけで満足に鳴りだした。
もうスピーカーは卒業だと思った。
スピーカー台はメーカー推薦のSD-1である。

上級のKX-3Pと比べると、KX-1が音楽が積極的に鳴るし、
音の密度が高い部分とそうでない漂う部分をうまく描き分ける。
コストダウンの部分(磁石とキャビネット、ケーブル端子)が
構造を簡素化させたり、鳴らしやすさを引き出した(つまり設計がこなれてきた)と考える。

数百万円のハイエンド製品となると、
どこをとっても密度が高く一聴してすばらしく鳴るけれど飽きる
(これをハイエンド製品の嫌みと呼んでいる)。
例外は、ウィーンアコースティックのハイエンドだけだった。

KX-1は休みの日に半日ぐらい続けて音楽を聴いてみたが、
まったく疲れない(聞き続けて飽きないことがその証し)。
よく弾みよくうたうけれど歪み感が皆無で
バスレフのように低域に固有の共振が濁らせて音楽を支配するようなことがない。
もっと鳴らそうと思ったらアンプの追加(交換ではない)が考えられるけど
さきの視聴のように現在のプリメインにはこれぞというアンプがない。
ビクターAX-V1のようなアンプは世の中に存在しなくなった。
洗練されたデザイン(マランツやDENONはなぜ存在感を訴求するのだろう)で
なめらかで嫌な音は一切出さず、軽快に音楽が弾んでうたう。
ハイエンドオーディオが絶叫するところを軽やかに鳴らすので
聴き疲れないし、実は音楽の濃淡が味わえていい。
マシュマロのようにふわふわしているように見えて、音楽の大切な骨格は実は明快だ。
ダイナミックレンジでははかれない、音像と音場の比較(音像/音場比)は
実はタイムドメイン方式の独壇場だが、
こんアンプも相当いいところを行っている。
ビクターは、いま一度この音のコンセプトでHMVオーディオを復活させられないだろうか。
(そのために出資しても良いと思う人は少なくないと思う)

買い足すとしたら、ヘーゲルあたりのプリメインが良いかもしれないが、
実は音は聞いたことがない。
あるいは、数万円のデジタルアンプに掘り出し物があるかもしれない。
いずれにしても当面はビクターで鳴らしていく。

これ以上のスピーカーがあるとは思えないし、あっても興味がない。
伝統の自然素材を使いこなしてハイレゾ対応していること、
そこに日本人の感性が活かされているように感じる。
音楽はあくまで伸びやかに鳴る。
クリプトンKX-1は
音楽が好きなぼくの終のスピーカーとなるような気がする。



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posted by

空と海

at 00:25| Comment(24) | TrackBack(0) | 音楽
この記事へのコメント
初めまして。クリプトン のkx-1 で
本 HP にたどりつきました。
本 HPをみてkx-1 を購入したいと
思いました。
一応 試聴し 繊細で柔らかで
余計な味付けのない
素晴らしいスピーカーでした。
もし おわかりでしたら教えていただき
たいのですが クリプトン の他のスピーカー
kx-3P2 kx-5 kx-5P 等は
聴かれた事はありますでしょうか?
kx-1 との音質差は 価格差 程に
ありますでしょうか?
ちなみに よく聴くのは
イ−グルスや小田和正です

よろしくお願いします
Posted by カワハラ at 2018年05月12日 13:44
お問合せありがとうございます。
KX-1とKX-3Pはほぼ同じ条件で視聴したことがあります。
前者が音の濃淡の描きわけに優れています。
深夜に聴くことが多いので小音量時の反応も良く、広々と音場が展開します。
これに対して後者はラックスのA級アンプに通じる適度なかたまり感、弾み感と艶があります。
ぼくは前者に軍配を上げました(価格に関係なく)。さらに上級機種は聴いたことがありませんが、音楽鑑賞にはどちらも十分すぎるほどです。むしろハイエンドSPよりも楽しめるはずです。
Posted by 平井吉信 at 2018年05月12日 15:39
kx-1 の件で コメント
ありがとうございました
大変参考になりました
もう一度 試聴してきます
ありがとうございました
Posted by カワハラ at 2018年05月21日 10:50
KX-1の評価をいろいろと調べていて本HPにたどり着きました。様々なアンプを比較してくださっていて有難かったです。そこでアドバイスをお願いします。今、使っているのはサンスイSU-α607MOSLimitedです。このKX-1との相性はどうでしょうか?ここで評価が良かったのがヤマハでしたが、私もヤマハは好みでS1000を使ったことがあります。やはり、S1100とかの方が相性がいいでしょうか?聞くジャンルは、ロックからジャズ、J-POPまで幅広く聞きます。宜しくお願いします。
Posted by 植松満雄 at 2022年04月13日 14:59
サンスイのMOS-FETのアンプをお持ちなのですね。
物量を投入していていまのアンプよりはお金がかかっているはずです。
現役でいるとしたら大切にされると良いでしょう。

ヤマハは相変わらずさらりとした淡泊な傾向と思われますが、
わざわざアンプを買い替える必要はないように思えます。

昨今の廉価なD級増幅のアンプでも鳴らせやすいです。
私が使っているのは10数年前のオンキヨーのD級 A-1VLです。
特に不満はないのでそのまま使っています。

LUXMANのL-505UX2の後継(L-505Z?)には期待していますが、現時点で発売が予定されているわけではありません。音楽が過不足なく再現されると予想しています。

現に使っているアンプに実際につないで不満が出てからの検討で良いのではないでしょうか?

Posted by 平井吉信 at 2022年04月13日 21:03
早速にありがとうございました。とても参考になりました。しばらくは旧機を使いきってみようと思います。伺っていてお使いのA-1VLでも聞き比べてみたい気になりました。そこでなのですが、本文中に出てくるビクター SX-V1-MとKX-1と比較して、ボーカルや楽器特に生ギターなど弦楽器を鳴らすなら、どのような違いがあるか教えてくださいますか。宜しくお願いいたします。
Posted by 植松満雄 at 2022年05月06日 13:18
中出阪蔵とか河野賢の手工ギターが家にあったため
弦楽器は中学の頃から生で聴いておりました。

ビクターの初代モデルはキャビネットが特徴で
マホガニー無垢の響きの心地よさがすべてを包み込みます。
(いまでは稀少材として伐採ができないのかもしれません)

手で叩くとビクターはまるで打楽器のような音がします。
カツンという打音の後にツーンという響きが重層的に加わって官能的な木の音がします。

これにクルトミュラーのアルニコマグネットとソフトドームですから
耳障りな音は出さないかわりに、F特で声の帯域から上のいわゆる目立つ中高域が引っ込んでいます。
ソフトドームだからやわらかいのではなく、音のエネルギーが中高域で足りないのが惜しいところ。
しかし声、生ギターはこの特性で長時間浸れます。

クリプトンは木だけで比較するとビクターに及びません。キャビネットを叩いても良い音がするわけではなく、振動がすぐに収まる感じでこれは内部の吸音材が支配しているのでしょう。
木が入手できた時代性もあるし、製品企画がそれを前面に押し出していましたから。

しかし全体としては声の輪郭やギターの弾いた瞬間の切れ込み、粒立ちでクリプトンに分があります。

音の個性としてその時々の気分で使い分ければと考えます。総合的にはクリプトンが優勢ですが、希少性や声帯域のふくよかな響き、外観の含めて幸福感につながる価値でいえばSX-V1でしょう。
Posted by 平井吉信 at 2022年05月09日 18:56
とても参考になるコメントを賜り、ありがとうございます。あれからヤフオクでSX-VIX-Mを飼う算段をしていますが、値段が10万円!と結構な値が付いたのでやめてしまいました。(笑)
そこでなのですがSX-VI-MとSX-VIX-Mとを比較すると音の違い、音色は違いますか?もし比較されたことがあれば、教えてください。どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by 植松満雄 at 2022年05月17日 17:49
ビクターの新型機は聞いたことがないのでわかりませんが
同傾向の音であることは間違いないでしょう。
ハード系の素材となって過渡特性が良くなっていると思われます。

手に入るようならそれで良いのではないでしょうか。

個人的な意見ですが、SX-3シリーズもそうですが、シリーズの初代機にその特徴がもっともよく現れる、もしくはコストがかけられていると推察します(型番変更とは改良とコストダウンの両面から行なわれますので)。

ソフトドームと偏心させないクルトミュラーコーンに価値を感じるなら初代かもしれません。
Posted by 平井吉信 at 2022年05月18日 18:20
いつも丁寧なコメントに感謝申し上げます。Victor SX-V1X-Mは、皆さんいいものを探しておられ、なかなか入手できずにいます。
そこで一度視点を変えてよく似たスペックで違うものを探してみました。「Victor SX-500DE Dolce Eterno」というスピーカーです。
オーディオの足跡を読みますと、「低域には20cmコーン型ウーファーを搭載し、振動板にはクルトミューラー製コーンをベースに特殊製法でさらに剛性バスレフ用高弾性パルプコーンを採用。
また、ウーハーにはエッジワイズボイスコイルを採用し、トランジェント特性を高め、広い再生レンジを獲得。
磁気回路にはアルニコ磁気回路を採用し、アニール処理を施すことでより駆動力を高めた。」とありました。
V1-Mよりは一回り大きいですが、音質的には似たものを感じます。もしSX-500DE Dolce Eternoのことなどもご存じならば、ご教授賜れば有難いです。
宜しくお願いします。
Posted by 植松満雄 at 2022年06月01日 13:54
SX-500シリーズとSX-V1シリーズは別物と考えています。
直接比較したことはありませんが、現存するどの動画を見てもSX-500の傾向は似ています。

声が肥大化しつつもハスキーで声の潤いが感じられないドライな感覚ではないでしょうか。
さらにメリハリ調でありながら楽器の分解能がいまひとつで大味に聞こえます。

おそらくは大口径ウーファーによる2ウェイで
声の重要な帯域が高低ユニットの狭間に来ていることが影響しているのかもしれません。
キャビネットと吸音材もデッドな傾向を助長しているようです。
何より間接音が少ないことが潤いに乏しい感じがします。

例えば最新のB&Wの2ウェイでは、高分解能と豊かな音場を両立させており
しっとりと浸透していく表現ができているように思います。

年代を考えるといまあえて求める必要はないように思うのですがいかがでしょうか。
Posted by 平井吉信 at 2022年06月01日 22:10
早速にコメントを賜り、有難うございました。
いつも快刀乱麻を断つが如き回答を出して下さり、心より感謝申し上げます。
求めていた答えを貰えたようで、心の中のモヤモヤ感が払拭され、何か霧が晴れたような気がします。
Victor SX-V1-M かVictor SX-V1X-M をゲットすべくチャレンジしてみます。
本当に有難うございました。
Posted by 植松満雄 at 2022年06月02日 02:10
お陰様でやっとビクターSX-VIX-Mを手中に収めました。ご指導の賜物です。有難うございました。
そこで、早速に聞いておりますが、まず感じたのが音のメリハリの効いた音。次に低音の出方もいいですね。我が家には、ヤマハNS10MやB&WCM5S2がそれぞれに優しく奏でていますが、一気にこのSX-VIX-Mにべた惚れとなりました。あとはアンプをどうするか、やっぱりAX-V1ですかね?
ところで、このSX-VIX-Mにはインシュレーターをどのような物を使用されていますか?
またご指導のほど宜しくお願いします。
Posted by 植松満雄 at 2022年06月11日 15:38
とうとう入手されましたね。経年変化が予想されるなかで十分に鳴っているようでよかったですね。
アンプは純正をつないで数年は使いましたが、使いこなしでは補えないと判断して外しました。
その理由は、AX-V1はロースピード、ナローレンジ、とろりとした音質傾向でこのスピーカーの特徴を引き出すことは難しいのです(そこでオンキヨーを導入したのです)。近年のD級増幅が個性を活かせるでしょう。
予算が許せば、テクニクスのSU-G700M2が最良の選択。粒立ちや透明感を引き出しながらこのスピーカーに足りない音像と音場のリアリティを補ってくれるでしょう。特にデジタルで音場や位相の補正を入れるとこのスピーカーがいきいきと鳴り出すと推察しています。
なお、このスピーカーは専用台でないと性能を引き出せないと思われます。三本の足には金属の受け皿がセットされ、スピーカーの底面にある金属の凸部とかっちりとはまります。それをさらに底面をネジで固定してキャビネットと台が一体化されるのが利点です。この状態ではインシュレーターは剛性や結合強度を損ねるので使いません。
Posted by 平井吉信 at 2022年06月13日 00:48
AX-V1について補足です。
おそらくはSX-V1の特性があばれる箇所を抑え切れていないような感じです。
他のスピーカー(KX-1等)では軽やかな美音を聞かせます。
電源も底面中央から最短距離で出力するなど意欲的な設計ですが、SPのドライブがD級のようにはいかないということと思われます。

SX-V1シリーズはマホガニーのキャビネットを響かせる仕様で
ハーベスと同様の考え方です。
(あの華奢でスカスカに見えるスタンドが音質の良さを引き出しています)
インシュレーターは底面の響きをダンプしてしまわないものが良いでしょう。
純正スタンドはマホガニー無垢という豪華な仕様で見栄えも良いのですが
3点の金属による点接触(それでいてネジで底面とスタンドを強制的に合着する)で底面はキャビネットと接触しない構造で豊かな響きを阻害しないようになっています。
Posted by 平井吉信 at 2022年06月13日 10:33
細やかなご指摘と今後のアドバイスを賜り、有難うございます。今のところAX-V1はB&WCM5S2よりは低音も響いていますが、中高音域がまだ力を出し切れてないように思います。まさかその金属のナットとスタンドの組み合わせがいい音を鳴らすポイントだとは知りませんでした。早速スタンドを探してみます。
アンプの方はまだサンスイを使用していますが、何か対策を練りたいと考えています。一気にテクニクスのSU-G700M2とは行きたいところですが、いろいろと寄り道もして楽しみたいのでオンキョーA-1VLか7VLあたり、もしくは同じオンキョーのA-9000Rとか9070あたりはどうかなと考えています。如何でしょうか?
Posted by 植松満雄 at 2022年06月14日 11:02
追記:この中でも紹介されているSonyのTA-A1ES にも思い焦がれています。「噛むと味わいが増すスルメのようなアンプ」というのに惹かれています。なので、SONYとオンキョーのどちらかを選びたいなと考えています。ご指導の程、宜しくお願いします。
Posted by 植松満雄 at 2022年06月14日 11:08
オーディオ全盛期には高品質のオリジナル部品を専門の町工場が提供されており、回路設計も力が入っていたので仕様は全盛期のアンプが上回りますが、その一方で経年変化があります。中古については個体差があるのでどの機種が最適というのは言いがたいところです。また列記されている機種では同じメーカーでも開発者、コンセプトが違うので音の傾向もかなり異なるのではと予想しています。
SX-V1は最新のD級増幅が良いと判断していますが、まったりと鳴らすのであれば往年の好みのアンプ、デザインで良いのではないでしょうか。少なくともスピーカーと向かい合って身じろぎもせず聴くようなものではなく、部屋にマホガニー無垢の芳醇な響きを愉しむものですから。
Posted by 平井吉信 at 2022年06月15日 12:23
早速にありがとうございます。紹介されたテクニクスのSU-G700M2を聞きましたよ。正直に言って、パナソニック(テクニクス)を音響メーカーとは思ってもなかったので、この音には驚きました。音の切れというかパンチ力と骨太な音には参りました。また古い時代のアンプをこよなく愛してきたものですから、ここまでデジタルアンプが良くなっていたとは知りませんでした。これから偏見を外して選択の幅を広げてみようと思います。
それと、SX-V1Xもご指摘を受けた底の金属部にのみフィットするインシュレーターをつけて鳴らしてみましたら、音が見違えるほどよく聞こえるようになりました。音の広がり、余韻、芳醇な響きになりました。本来の音に一歩近づきました。
貴重な情報を本当に有難うございました。
Posted by 植松満雄 at 2022年06月15日 22:27
半導体不足とコロナ下でのサプライチェーンの停滞でオーディオやカメラ業界は苦しいところです。こんなときは汎用部品を音作りして使いこなすアキュフェーズのようなやり方は安定感があります。
また、テクニクス(社内技術の共有やGaN-FETなどの特殊な半導体の確保)やヤマハ(音響部門の伝統は途絶して復活したのでノウハウの継承はどうかと思いますが木工や木材資源の確保の優位性)は資源の調達力があるのでかつての専業メーカーよりは優位性があるのではないでしょうか?

そんななかでテクニクスは実際に音を聴いて楽器の持つ情報を損ねていないように感じました。攻めたコンセプトも見事です。かつてパナソニックの1bitのCDプレーヤーを所有していましたが、59,800円とは思えない上質の再生音でした。その印象もあって700シリーズのプリメインとCDに期待するものがあります。

いまも現役で使っているオンキヨーのA1-VLはDFこそ低いのですが、実際には低域を十分に制御できています。このアンプでは空気の動きが見えるのにビクターでは見えないのです。少ないパーツ、強力な電源、簡素な回路が良い方向に作用したのだと思います。心地よく弾むので音楽の抑揚が伝わり、音色の変化の妙よりは時間軸の正確な再生が快適で再生音にこのアンプの最大の美点であるストンと抜け感があるようです。
Posted by 平井吉信 at 2022年06月22日 22:15
SX-V1Xは鳴らし込んでいくごとに、音の厚みや広がり、輝き、ボーカルの艶感に至るまで本当にいい代物ですね。すっかり魅了されています。
そこで、クリプトンのKX-0.5を手に入れまして聞き始めました。(KX-1を手に入れられなかったのでこちらにしてみました。(-_-;))
音色そのものはクリプトンの方がいいなと思いましたが、ボーカルはやはりビクターに軍配が上がりますね。設定もそこそこなので、これから調整していきたいと思います。
こうなってくるとやはり、アンプですね。
サンスイもそろそろ手放していいかなと思い始めました。お勧めのオンキョーA1-VLを狙ってみようかと考えています。あとA7-VLやデノン2500NE、アキュフェーズD-280とかはどうでしょうか?御指南の程、宜しくお願いします。
Posted by 植松満雄 at 2022年06月28日 15:57
指南というのではなく感想です。
ビクターは趣味性の高いスピーカーですが、音楽をいきいきと鳴らしてくれるかというといまひとつです。音の出口で性能が制限される感じなのでアンプはお好きなものを選べば良いのです。どうしても性能を引き出すというのであれば先のテクニクス一択でしょう。

A-1VLを20年近く使い続けています。おそらくいまの30〜40万円級のアンプの音色は装飾感満載ですぐに飽きてしまうことが店頭での視聴でわかっているので。

A-1VLの良さとは素材系の良さです。派手な音は鳴らなくても音楽の本質を鳴らしてくれます。ヤマハは高域の無機的な感じと低域の響きの豊かさがやや演出を感じます。デノンは最新機でも音がうるさい感じ。マランツはModelシリーズはつくられた化調風味(特に中低域のプラスティッキーなhi-fi感)。アキュフェーズはものづくりの姿勢はすばらしいのですが、音は好みではありません(空気を読む音というか、年配のオーディオマニアに期待されたというか、囲われたような音楽の鳴らし方=生気を感じない)。

A-1VLを20年近く使っているのは素材系の飾らない木綿の感触が心地よいからです。5月であればベートーヴェンのピアノソナタの田園を窓を開けて聞いていると風と同化します。さりげないけれど音の反応(立ち上がり・立ち下がり)が早い。余分な艶が付かないから飽きが来ないのです。

発熱が少ないのもぼくには大きな利点です(エアコンを使わないので)。回路が簡素で接点が少ないうえにほとんど天板が熱くならないので経年劣化は見られないのです。これには部屋の空気の管理をずっと行っているのもきいていると思われます。2004年当時のオンキヨーには往年の技術者がいたのかもしれません。

ただし中古は程度がわからないリスクがあります。リスクとは音質や性能だけでなく発火などの怖れもあり得ます。持ち主の使い方や維持管理に依る部分が大きいからです。うちでは、40年以上も前のライツミノルタCLも新品のように手元に残っていますし、ソニーのトリニトロン(ブラウン管テレビ)は現役です。
やはり新品が無難とすれば、聴いたことがないので具体的な型番は挙げられませんが、音色や雰囲気感が似ていると思われる北欧のヘーゲルのプリメインが近い存在かもしれません。
Posted by 平井吉信 at 2022年06月28日 23:19
いつもながら痺れるような言葉の切れと正鵠を射た的確な言葉に感謝いたします。しかしながら、残念ながらというべきですが、オンキョーA-1VLは中古しかないので、吟味しつつリスナーの方の良心を信じて中古を手に入れるしかないですね。A-7VLではイマイチのようなので、A-1VLを選択肢のNO.1として探してみます。
貴重な御意見を本当にありがとうございます。心より感謝申し上げます。
それと、差し支えなければKX-0.5への講評などを賜れば、有難く存じます。
厚かましいリクエストで恐縮ですが、宜しくお願いします。
Posted by 植松満雄 at 2022年06月29日 11:53

KX-0.5は音を聴いたことがなかったので探してみて動画での聞き比べ企画を見つけました。
この条件がどのように収録されたかはわからないのであくまで動画を手元のスピーカー(タイムドメイン ライト特注型)で聴いた限りの感想です。

0.5はピアノの右手の帯域が曇っているというか生気がないような感じです。声にはよく言えば盛り上がり、悪くいえば付帯音が感じられます。中低域のロスが減少した分、エネルギーがぶつかっているようなニュアンスといえばわかりやすいでしょうか。クロスオーバー周辺がうまく行っていないのかもしれません。

クルトミューラーの紙コーンでは密閉型で適度な逃げとなって付帯音が少ないようです。かつてのヤマハのNS-1000Mは、当時日本を代表するスピーカーでしたが、低域のスピード感がベリリウムの中高域に追いついていないという評価もありました。

しかし聴感上は正確な位相で正確なピストンの中高域は忠実性と響きのつややかさを両立させており、密閉の30センチ紙ウーファーはやはり紙から浸透してくるキャビネット内の回折というか位相のズレが低域の音場感をつくっていたのかもしれません。NS-1000Mはヤマハに復刻してもらえないかと思っているのですが、いまなら40〜50万円になるかもしれませんね。位相のずれのような独特の音場感はB&Wのノーチラス型ツイーターと同じような作用として密閉型の紙コーンで起こるのかもしれません。

そんなわけで密閉型のクリプトンが紙以外の素材(カーボンポリプロピレン)をうまく使いこなせていないのではないかとも思ってしまいます(KX-1.5も同様)。

この動画では、ディナウディオの高級ブックシェルフはなぜか逆相感を感じます。接続は間違ってないのかなと思いましたがオーディオ専門誌ですからそれはないのでしょうね。

この企画でもっとも良いと思ったのはパラダイムのPREMIER 200Bです。すっと抜けてきて音楽に抵抗なく浸れました。余韻も美しく漂う音が直接音と分離して存在感があります。買ってみようかなともちらりと思いましたが。

ひとつのYouTube企画だけで判定するのは乱暴だし答えになったかどうかはわかりません。お気を悪くされたら申し訳ありませんが、改めて勉強になりました。
Posted by 平井吉信 at 2022年07月02日 19:15
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