2016年07月21日

5年ぶりに一眼レフを買い替えた ニコンD7200 これほどまでによくできているとは


以前の銀塩カメラはミノルタのX700で20年近く使っていた。
当時は篠山紀信や三好和義が撮影していたもの。
小型軽量で明るくピントが合わせやすいファインダーは比類がない。
カメラを次々と買い替えたことは一度もなかったが、
5年間愛用したニコンD7000を買い替えることにした。
(中古で買われる方、程度は極上です。安心して使ってください)
理由は、同じAPS-C16メガセンサーのフジX-E2と比べて
像の鮮鋭度で劣るから。

レンズ性能、センサー性能は互角なのだが、
電子シャッターを備えたフジとは風景でも接近でも明らかな差が付いた。
このことから、AFの精度と
ミラーショックを含めたシャッター機構のブレと仮説を立てた。
ニコンでもジッツオ3型に固定して
リモコン+ミラーアップ+コントラストAFで合せると良かった。
(それはいつもいつもできないでしょう)
フジは、MFモードでフォーカスリングを回すと
焦点像が拡大されてピント合わせがやりやすい。
望遠やマクロは一眼レフの特徴が活かせるはずだが
実際には、撮像面でピントを合わせられて、
しかもその画面が瞬時に拡大できる
ミラーレスに軍配が上がるかもしれない。

ところがフジからは使いたい望遠レンズが出てこない。
レンズのロードマップがこの夏に更新されたが、
巨大で高価な望遠(しかも接近できない)か、
画質がいまひとつの望遠しかない。

手元にあるAF-S NIKKOR 70-200mm f/4Gの可能性とともに
一眼レフを信じてみよう、と思った。
(おそらく最後の一眼レフとなりそう。もうミラーレス実用時代が始まっているから)
そこでD7000を下取りしてD7200を購入した。
(カメラを下取りして差額購入するのは初めて)
近所のカメラ店で差額は6万円程度に収まった。
→ Nikon デジタル一眼レフカメラ D7200


さっそくセッティングとカスタマイズと試写を行って驚いた。
手持ち撮影での像の鮮鋭度が格段に違う。
マクロの手持ちで、いままで撮れていないぶれない写真が撮れる。
高画素化とローパスフィルターがないということもあるだろうが
ニコンはD7000で弱点とされたシャッター機構に手を入れていたのだ。
同時にAFの速度や精度も改善されていることが試写からわかった。
(EOSは選択肢に上がらなかった。いまのレンズ資産を活かすこともあるが、企業の姿勢に共感できないのと、色再現は鮮やかであっても深みがなく地に足が付いていない気がする。おしゃれな山野草やつくられたポートレートではない現実感のある画面が欲しい。さらにセンサー性能やカメラの仕上げでニコンと差が付いていると考えた。キヤノンが好きな人は透明感や明度が求められる広告写真など用途と趣味が違うだろうから、それはそれで良い選択)

色再現性もJPEGで納得できる。
特に葉の緑の再現の忠実度が上がっている。
(青みがかるフジのプロビアよりも緑の再現性は高いと思う)
D7200ではピクチャーコントロールもカスタマイズして登録した。
ひとつは、ポートレート用に。フジの肌のような色合いを再現できた。
もうひとつは、素材重視のフラットをベースに、
コントラスト、明瞭度、色の濃さを上げたもの。
光の強弱が広い状況であっても白飛びやつぶれを防ぎつつ、
色の飽和しがちな赤紫の花などをやわらかく美しく撮れる。
階調も色の再現性もスタンダードより優れていると思えるパラメータができた。

上から順に以下のJPEGで3種類を比較(曇天なのでスタンダードのコントラストが高いことが目立たないかもしれない)
・スタンダード(ニコン標準)
・ポートレード・ナチュラル(肌の再現性をフジに近づけたポートレート用のオリジナル)
・フラット・リッチカラー(階調をやわらかく再現しながら色と光を豊かに集めるオリジナル)
D7N_0068st.jpg

D7N_0075pr-nat.jpg

D7N_0074fl-rich.jpg

(縮小したので差がわかりにくいかもしれない)
あとは、彩度を押さえつつコントラストがやや堅めで露出を切り詰めた渋い表現、
花の光を幻想的に明度をやや上げてパステル調で再現するプロファイルを作成する予定。

光学ファインダーの良さはシャッターチャンスを逃しにくい点にある。
(長年それを通して場面を見てきたから)
そして迅速なAFはブレの軽減にも役立つ。
人間が動きを止められるのは意識をした瞬間なので
写す(動きを止める)と思ってシャッターを押したら
そこからAFが動いて(タイムラグの間に身体が動いてしまう)
さらに一度シャッター閉じて開いてまた閉じるという
ミラーレスのシャッターにも違和感を憶えるかもしれない。

X-E2でも、親指AF(または予めピントを合わせたMF)で
フォーカシングとシャッターの動作を分けたうえで、
電子シャッターで切れば問題は生じないのだが。

→ FUJIFILM ミラーレス一眼 X-Pro2 ボディ X-Pro2

→ FUJIFILM ミラーレス一眼 X-T2 ボディ X-T2-B


D7200では、親指AFでの運用と相まって花から花へせわしなく飛ぶ蝶など
フジでは撮れない被写体をねらっていきたい。
レンズは望遠(AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR)と
マクロ(AF-S Micro 60mm f/2.8G)の2本だけでいい。
フジとニコン、どちらが良いか、
ミラーレスと一眼、優劣は?などと考えることなく
四国と向き合う道具としてつきあっていきたい。

→ Nikon デジタル一眼レフカメラ D7200

→ Nikon 望遠ズームレンズ AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR フルサイズ対応

→ Nikon 単焦点マイクロレンズ AF-S Micro 60mm f/2.8G ED フルサイズ対応

(この2本はフジでは代替ができないものと思う。しかもレンズは購入した価格からかなり上がっている。発売直後を除いてレンズ価格は下落することはなく、むしろ上昇傾向にあるようだ)

タグ:D7200

2016年05月29日

クリプトンKX-1 もうスピーカーはこれでいい


音楽を聴くことが生きる時間をどれだけ豊かにしてくれるだろう。

10数年ぶりにスピーカーを買おうと、出張の折りに秋葉原のヨドバシに立ち寄った。
かつてはどこの県内でも見かけたオーディオ専門店が閉店され
比較試聴ができる店が少なくなっている。
そこで購入したのは、クリプトンのKX-1というスピーカー。
(正確に言うと店頭で聴いてヨドバシコムのインターネットで購入)
 → クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

クリプトンなんて聞いたことがないメーカーと思う方は、
20年、30年前に、喫茶店やレコード店の店頭に置かれて
妙なる音色を奏でていたビクターのSX-3の設計者が
いまの時代に送り出したもの、といえばおわかり?
(それにしてもケンウッド、ビクターのオーディオ部門が健在であったらと…)

ドイツのクルトミューラーコーンと口径の大きなソフトドームを
密閉型のキャビネットにマウントした2ウェイで
弦楽器は特に実在感と品位の高い再生をした。
キャロル・キングや日本のフォークロックも心地よく
適度な艶と適度な重厚感を持ちながらもさわやかに鳴った。
学校の近くの喫茶店で同級生の女の子と過ごした時間、
彼女がどんな服を着ていたかは覚えていないけれど
ビクターSX-3の奏でる音が部屋を甘酸っぱく漂っていた。


ぼくは耳がいいので、知らないソースで、知らないアンプで
ほんの十数秒鳴らしただけで音の素性を掴める。
(例えば電源プラグの逆相感は、差し替えて比べなくてもわかる。逆相特有の音のとげとげしさ、低域が痩せて中域の密度が落ちるさまは隣の部屋でもわかる)

ヨドバシでの視聴第一候補に挙げていたクリプトンKX-1は、
一聴して良さがわかった。
中域がいいから声が太くも細くもならず、自然にうたう。
高域、低域も揃っていて反応が早い。
だから歪み感がない。
しかし慌てることはない。
DSCF4987-1.jpg

Stirling Broadcast LS-3/5aという今日のBBCモニターも悪くなかった。
けれど、どこか素材の響きがある。
声はいいのだが、ピアノの音の抜けがもうひとつ。
スピーカーから音が離れて欲しい感じ。

ソニーの同クラスのツイーター3つ目仕様は
音の輪郭、実在感が掴みにくい。
(上級機はツイーター1個だが、むしろこちらが実在感があって良い)

ダリのメヌエットはよくできた製品と思った。
音楽が艶やかにうたう。
ただ、ダリの上級機は、個性がさらに強くなって(厚化粧)
音楽を覆い隠してしまいそう。

ウィーンアコースティックのハイドンも悪くなかった。
特に深夜に声ものを聞けば、空間に明瞭に浮かび上がることが予想できた。
(音楽を聴くのは仕事を終えてからなので深夜になる。小音量なのだ)

そんななかでKX-1は国産らしからぬ軽やかでよくうたう。
声は浮かび上がり、ピアノは打鍵音と響きのバランスがいい。
いつも視聴ではどこか物足りない(価格は関係ない)ものだが
このスピーカーはそれがなかった。迷いなく即決。
DSCF4951-1.jpg

数倍も高価で世界的に話題のB社の新素材のスピーカーなどと比べても
音楽の濃淡はむしろ廉価なKX-1の表現が優れている。

スピーカーを固定して、今度はアンプも視聴してみた。

まずはマランツPM-11S3。
繊細さとふくよかさ。
しかも忠実度が高い再生で違和感がない。
セパレートのないマランツでは最上級機であり、
ヒエラルキーの制約がないからか伸びやかに鳴っている。
でも、デザインがなじめないのと、
音量を絞ったときに音楽が遠のいてしまう。
(電子ボリュームの操作感も違和感がある)
ただしフォノイコライザーは良いモノが入っているように感じる。

DENONの2000シリーズ。
太くて鈍重。音像が肥大化して音楽が動脈硬化を起こしているような。
かつて、デンオンのPMA-940という69,800円のプリメインを、
ダイヤトーンP610DBアルニコの16センチフルレンジを
自作のフロントバッフルのみで組み上げて鳴らしていた。
(低域の空振りを低減するだけのバッフルなので箱鳴りはないが、トーンコントロールで低域を増強する)
アンプ内を清掃するとき、
コンデンサーなどの部品の位置を数o動かしただけで
音が激変する驚愕の事実を知ったのもこの頃である。

あのときの実物大の現実感と介在物のない浮遊感は成果だと思っている。
その後、ヤマハのA-2000aを導入したが、1/3の価格のデンオンの音像の実在感が優った。
こんなはずではと、試行錯誤を行い、
MCカートをMM入力で受けてゲインを減らし、
プリアウトとメインインを直結して聴いていた。
音を悪化させる可変抵抗を通らないのだが、
フラットアンプも飛ばしてゲインを抑えて
ヴォリューム全快相当でも実用的な音量で再生できる。
(レコードに針を降ろしてからプリとメインを直結する操作が必要である。間違ってライン入力でこれをやるとスピーカーを飛ばしてしまうだろう)
結果は、この世のものとは思えない純度の高い、アンプの存在を感じさせない実在感のある
艶やかな空気感が空間に波紋を広げていく体験を味わった。
こうなれば、A級で歪み低減回路(ZDR)を搭載しているこのアンプは
空気がそよぐような豊潤で澄んだ音を見せてくれる。

だから、久しぶりにピュアオーディオに戻ったヤマハに期待する気持ちはあった。
そこでヤマハのA-S1100、A-S2100。

視聴の感想の前にこれまで使ったヤマハのアンプの印象を。
小学生の頃、よく聞いていたのは、
ヴィラ=ロボスの5つの前奏曲やソルの魔笛の主題による変奏曲といった
スペインのギター音楽だった(ませがき)。
その頃、評判だったパイオニアのシスコンを近所の電気店が持ちこんだのだが、
父もぼくも納得できなかった。
そこで販売店がしぶしぶヤマハに入れ替えたとき、
自然な楽器の再生にうなずいた。
こうしてプリメインアンプCA-400と
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/amp/ca-400.html
ベルトドライブのプレーヤーYP-311、
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/player/yp-311.html
NS430の組み合わせである。
http://audio-heritage.jp/YAMAHA/speaker/ns-430.html

その後、アンプはA-5、A-6、A-6a、A-2000aとヤマハを使ってきた。
ぱっと聴いて感じたのは、現在の製品は音のチューニングが必要だ。
2100は、声の密度が低い。中域のエネルギーと解像度が不足して曇っている。
低域は膨らみ、中高域が突っ張る。これでは声ものは聞けない。
1100は、上級機より資質はむしろ良いが、腰が高く音楽に入り込めないし長時間浸りにくい
(もちろん、最新機種の音が好きであれば構わない。個人の趣味ということで書いているのでオーナーは気になさらないよう)。
でも、音はもっと練り上げて欲しいのだ。

ソニーTA-A1ES
A級で小出力でシンプルなデザインと、音の良さそうな顔をしている。
音楽があまりうたわないけれど、
特定の帯域や音調に癖がないからじっくりと浸れる要素がある。
噛むと味わいが増すスルメのようなアンプかも。

ラックスマン 505シリーズ、507シリーズ
507シリーズは友人宅に先代がある。
一聴して良い音のように感じられる。
艶やかで低域の解像度が高いため音楽の土台がしっかりしている。
けれど、声が風邪を引いたようなハスキー調はいただけない。
むしろ音楽に浸れるのは505シリーズのほうである。
いま使っているビクターのアンプAX-V1と似た音調を感じる。
A級のシリーズは聞いたことがないからわからないが、
新しい550シリーズは悪くなさそう。
L-550AXII http://www.luxman.co.jp/product/l-550ax2
ただし深夜に聴きながら寝入ってしまう使い方では
朝まで付けっぱなしは良くないだろう。
ラックもゆとりがないので発熱の大きなA級は候補にはできない。
 
DENON 2500シリーズ
ヨドバシで最初に鳴らしたときにこのアンプがつながっていた。
スピーカーや環境、ソースが変わっても
アンプの傾向はわかる。
なぜならアンプは音の質(傾向)を左右する。
すぐに感じたのは、スピーカーの資質を明確に鳴らすアンプということ。
DENONが鳴っているとは思わなかった。
2000シリーズとはまるで音調が異なるから。
DENON プリメインアンプ プレミアムシルバー PMA-2500NESP

例えば、PMA-2500NEと同じ価格帯のヤマハの2100と比べてみたらいい。
どちらが声が自然に再生できているか、
どちらが音楽の実在感や凝縮感があるか。
なにかしら社内的に大きな変化があったのではと思ったら
音決めの担当者が変わっていた。
デザインは相変わらず野暮ったいが、注目のアンプである。


自宅にKX-1が配達された。
部屋は12畳の洋室で、スピーカーの背面は壁から1メートル離している。
SPケーブルは、江川三郎氏製作による細い線を使用。
自然な響きが特徴。
クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

DSCF4993-1.jpg

アンプは参考までに聞いたが、やはり現状のビクターでいい。
AX-V1は、マホガニー無垢のスピーカーSX-V1を鳴らすシステムである。
(Web上に動画を見つけた。https://www.youtube.com/watch?v=rkUw7gx-5qQ

耳は良くて音楽が大好きだけれど
オーディオマニアの装置には違和感を覚えるので
このHMVシステム一式にした。

SX-V1はいまも使っている
DSCF5009-1.jpg

控えめながら上品なデザイン、リモコンで調整できること、場所を取らないこともいい。
スピーカーSX-V1は、キャビネットを手で叩くと
アフリカの太鼓のように美しく響く。
いまの時代は木が稀少で、
このような製品は数百万円でも見かけない。
それを例のクルトミューラーコーンと絹のソフトドームを配した2ウェイで
しかも高低のユニットは内部で金属ダイカストでメカニカルに連結されている。
このつくりは正しいと判断して不見転で買った一式なのだ。
(このコンセプトでビクターが出したら売れる。価格は100万円を越えるかもしれないが)
実際に、嫌な音は一切出さずに、マホガニーの響きに音楽を委ねて届けてくれる。
それは心地よい。
けれど、弦やピアノの打鍵の現実感や声の輪郭が欲しいと思うことがある。
その役割を、同じDNAを持つクリプトンKX-1に託す。
http://audio-heritage.jp/VICTOR/Speaker/sx-v1-m.html
SX-V1開発悲話 http://catwerx.jp/SX-V1.php

KX-1を聴いてみよう。
クリプトン 2ウェイ密閉型スピーカーシステム モアビ仕上【2本1組】KRIPTON KX-1

HJリムのベートーヴェンのピアノソナタ。
目の前に楽器をフルオープンして
彼女が微妙にペダリングを行っていることが見える。
それでいてまったくうるさくない。

カサンドラ・ウィルソンのジャズボーカル。
楽器のリアリティに埋没することなく声が豊かに浮かび上がる。
聴いている本人が感動してしまった。

スペインのギターを奏でても違和感がまったくない。
弦の再生は難しい。
特にハイエンドスピーカーは得てして自らのゴージャズな響きに強引に連れ去って
かえって現実感に乏しくなるが、
KX-1は身の丈でありながら目の前のリアリティがある。

ガムラン。ジャワ島の民族音楽は、
KX-1のリングツイーターがもっとも得意とするもの。
このスピーカーの美点は光が散乱するがごとく部屋いっぱいに広がる音場感だが、
さまざまな金属の響きが少しもうるさくなく万華鏡のように再現される。
これは耳のごちそうだ。

70年代の古い日本のポップス、例えば、キャンディーズ、浅田美代子なども楽しく再生される。

80年代から90年代にかけてアイドルは
クリエイターの結集のような出来映えのアルバムを産出した。
松田聖子や菊地桃子のアルバムもそうである。
音楽が弾むけれどまったくうるさくなく、
声がスピーカーから離れて浮かび上がる。
線は太くもならず細くもならない。このしっとりとして存在感のある中域が奇跡だ。

密閉型なので低域に力があり、音程がよくわかる。
F特だけみれば、やや中高域が持ち上がっているが、
聴感上は逆にピラミッド型。
それは、ネットワークが良質でクロスオーバーがうまく行っていること、
リングツイーターの歪み感が皆無なため、
うるささがまったくないことによる。
端正であることは音像の現実感を持つ。実はこれは大切なこと。
アコースティックヴァイオリンがシンセサイザーに聞こえたり
箱庭のなかでこじんまりと鳴っていると飽きてしまう。
リアリティは必要なのだ。
それでいて、スピーカーの外に広がる豊麗な音場は心の癒しとなる。

タイムドメインライトは、スピーカーのモノサシである。
これはパソコンで仕事をしているときに鳴らしている。
この機種でなければ再生できない独自の世界観を持っている
(数百万円の機種もこの機種に勝てない部分を持っている)。
でも長時間聞いていると疲れる。
それはユニットの持つ歪み(それは価格なりのところだろう)や
低域の支えが足りないことによるだろう。
KX-1はタイムドメインの欠点をカバーしつつ、
バスレフの響きで遅延させないので正確な音像、音場の再生ができている。
なお、サランネットははずすとさらにミラクルな音場が楽しめる。

台に置いて10数年前のアンプにつないだだけで満足に鳴りだした。
もうスピーカーは卒業だと思った。
スピーカー台はメーカー推薦のSD-1である。

上級のKX-3Pと比べると、KX-1が音楽が積極的に鳴るし、
音の密度が高い部分とそうでない漂う部分をうまく描き分ける。
コストダウンの部分(磁石とキャビネット、ケーブル端子)が
構造を簡素化させたり、鳴らしやすさを引き出した(つまり設計がこなれてきた)と考える。

数百万円のハイエンド製品となると、
どこをとっても密度が高く一聴してすばらしく鳴るけれど飽きる
(これをハイエンド製品の嫌みと呼んでいる)。
例外は、ウィーンアコースティックのハイエンドだけだった。

KX-1は休みの日に半日ぐらい続けて音楽を聴いてみたが、
まったく疲れない(聞き続けて飽きないことがその証し)。
よく弾みよくうたうけれど歪み感が皆無で
バスレフのように低域に固有の共振が濁らせて音楽を支配するようなことがない。
もっと鳴らそうと思ったらアンプの追加(交換ではない)が考えられるけど
さきの視聴のように現在のプリメインにはこれぞというアンプがない。
ビクターAX-V1のようなアンプは世の中に存在しなくなった。
洗練されたデザイン(マランツやDENONはなぜ存在感を訴求するのだろう)で
なめらかで嫌な音は一切出さず、軽快に音楽が弾んでうたう。
ハイエンドオーディオが絶叫するところを軽やかに鳴らすので
聴き疲れないし、実は音楽の濃淡が味わえていい。
マシュマロのようにふわふわしているように見えて、音楽の大切な骨格は実は明快だ。
ダイナミックレンジでははかれない、音像と音場の比較(音像/音場比)は
実はタイムドメイン方式の独壇場だが、
こんアンプも相当いいところを行っている。
ビクターは、いま一度この音のコンセプトでHMVオーディオを復活させられないだろうか。
(そのために出資しても良いと思う人は少なくないと思う)

買い足すとしたら、ヘーゲルあたりのプリメインが良いかもしれないが、
実は音は聞いたことがない。
あるいは、数万円のデジタルアンプに掘り出し物があるかもしれない。
いずれにしても当面はビクターで鳴らしていく。

これ以上のスピーカーがあるとは思えないし、あっても興味がない。
伝統の自然素材を使いこなしてハイレゾ対応していること、
そこに日本人の感性が活かされているように感じる。
音楽はあくまで伸びやかに鳴る。
クリプトンKX-1は
音楽が好きなぼくの終のスピーカーとなるような気がする。



→ クリプトンKX-1 購入3か月の調整と変化
http://soratoumi.sblo.jp/article/176224933.html

→ KX-1 プリメインアンプで鳴らして比較
タグ:KX-1
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空と海

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2015年03月29日

妻が支え、夫が開いたジャパニーズ・ウイスキー


竹鶴政孝の妻、リタは幸せな生涯だったと思う。
封建社会の名残が色濃い大正時代に
(双方の家の許しが得られず)
故郷を遠く離れて言葉のわからない国に暮らし
日本人にはなじみのないウイスキーづくりを
無から挑戦する夫を支えるという。

リタは忍耐強い人であったとされる。
成功する人は忍耐強い。
ハーバードだったか、こんな研究成果がある。

幼少の子どもにおやつを与え、
いますぐ食べるか、あとで食べるかの選択をさせる。
それぞれの選択をした子どもが成人して
どのような暮らしをしているかを追跡を行った。

我慢してあとで食べることを選んだ子どもが
良い暮らしをしていた、という結果は想像できただろうか。

リタは、日本人以上に日本人になりきろうとした。
心のなかにはこの土地に骨を埋める覚悟で
夫の夢を実現させるという信念の灯火を絶やすことがなかった。。

短期で結果を求めることなく良いものをつくる―。
政孝もまたその信念はぶれることはなかった。
ニッカのウイスキー、日本のウイスキーの黎明期を
夫婦の絆で来る日も来る日も紡いだ。

リタが亡くなったのは1961年の冬。
妻に捧げる究極のブレンデッドウイスキーとして
1962年に誕生したのがスーパーニッカ。

「ウイスキーが熟成するまでに何年もかかる。これは娘が大きくなれば嫁にやるのと一緒なのだから、立派な衣装を着せてやりたい」

リタを思わせる優美なガラス瓶は特注であり、
佐藤潤四郎がデザインしたセミクリスタル製の手吹きボトルに詰められた。
この瓶を傾けてグラスに注ぐ際の
独特の澄み切った音響は舌へのご褒美を約束するかのようだ。
当時は大学生の初任給の1/5ぐらいの価格で販売されたが
なかなか入手できない幻のウイスキーであった。

当時のスーパーニッカを知るブレンダーが
その風味を復刻した初号スーパーニッカ復刻版が
2015年3月24日に発売された。
http://www.nikka.com/products/blended/fukkoku/supernikka/

手元にある3種類の竹鶴(無印、12年、17年)と
初号スーパーニッカ復刻版を比べてみた。
DSXE8624-1.jpg

余市モルトの強いピート香の奥から
蜜が滴り沈み込むような重さがある。
そのままでも良いが、水を少しずつ加えていくと
スーパーニッカの個性がひらいてくる。

スーパーニッカの発売は、宮城峡蒸留所の開設される7年前のこと。
復刻版においては宮城峡モルトを使っていないかもしれない。
竹鶴は、余市モルトと宮城峡モルトの妙を味わえるので
華やかでフルーティといえるが
それと比べても初号スーパーニッカは複雑で重厚な味わいである。

竹鶴夫妻を忍びつつ
連続テレビ小説の余韻に浸りつつ
スーパーニッカと竹鶴を味わいたい。
(コクはあっても濁りのない澄んだ風味がジャパニーズの特徴かも)



竹鶴17年は入手が難しくなっているようだ。



リタさんについてはこの本を読んだ。


リタと利他を重ねているのかもしれない。

神保町で買った万年筆 ジャパンブルーのボディと月夜のインク


場所は調べてあった。
店舗に電話も入れて確認した。
それなのに数回通り過ぎて入口に気付かなかった。
お客様ひとり入れば、あとの人は店外で待つことになる。
そんな小さな万年筆店を訪れたのは、2015年の3月。

最初に使い始めたのは近所の文具店で購入したパイロット。
太字の軸に鮮やかな青インクを入れていた。
どこに行くのにも持ち出して
そのときに思い浮かんだことをさらさらと書く。
(阿南の「大菩薩峠」はひとりでよく通ったもの)

ところがある日、床に落としてしまった。
ペン先からのインクは流れることなく沈黙し
それ以来、使わなくなっていた。

それから数年、セーラーのプロフィットの細字を求めた。
いまでも仕事の署名やメモ書きに使っている。
メモというよりは、
誰かと向かい合って言葉を書きとめるのに使う。
(取材、聞き取り、ヒアリング)
ノートパソコンに打ち込むときもあるけれど
その場の雰囲気にそぐわないと感じたときは
万年筆とノートに書く。

気取っている? 
そうではなく、ボールペンでは筆記の速度が話し手の心の動きに追いつかない。
万年筆では筆圧をかけないので後追いができる。

今回購入したのは、パイロットのカスタム74
パイロット カスタム74

カスタムシリーズは国産で歴史のある万年筆だが
1本1万円程度と求めやすい。
見た目がおしゃれとは言いがたいし
風格があるわけではないけれど
実用の筆記具としては申し分ない。
(むしろステイタス性がないほうがいい。マイスターシュテック149で署名するような場面ではないので)

立派な万年筆は自重があるので
それを利用してペン先を運ぶ印象がある。
ただ、ペン先が大きいと日本語のさばきが難しくなるような気がする。
国産万年筆は、手頃な価格でありながら品質管理が安定していることもあるが
日本語や縦書きでなめらかにペン先を運べることは確かだろう。

あいにくカスタム74はお店に品切れしていたが
お送りいただけるとのことでお金をお支払いし、
約1週間後に届けていただいたもの。

金ペン堂の万年筆は書き味が違う、と言われている。
それは、ペン先を調整してから店先に出されるからなのだけれど
それ以外に細かな助言もいただいた。

インクは変えないことが望ましい、と伝えられた。
一度ペン先を通ったインクは
水洗いしても残るので銘柄や色を変えると
インクの滲みだしが変わってしまう怖れがあるのだろう。
出荷のご連絡とともに使い始めの助言も含めて
お電話で再度ご教示いただいた。

安価な万年筆であったが
小さなお店の心に触れた気がした。
(飛行機代を払ってでも)この次に買い求めるときも訪れたいと思う。

購入したのは、カスタム74を2本。
黒の軸、Fのペン先にカートリッジ式の黒インクを組み合わせる。
(取材で使うのはこれが使い勝手がいい)

もう1本は、ダークブルーの軸、Mのペン先、コンバーターCON-50を組み合わせ、
インクは、「iroshizuku 月夜」。
たゆたう青、そして緑の残光を宿す。
(この青のボディも落ち着いたジャパンブルーと言いたいような色彩)


書き始めて数分でどちらもなめらかな書き味に到達。
特に、Mのペン先と月夜のインクは、
書いていて時間の経つのを忘れるほど。
無心にペン先を走らせるとき、
書く、という行為を忘れて
(掌や指先が消えて)
自分の心から汲み取った言葉を紡ぐという感覚。

キーボードでは、
NICOLA規格の新潟のリュウド社のRboard Pro for PC、
同じく富士通の親指シフトキーボード、
そして、ノートパソコンに外出先でつなぐ
東プレの静電容量型の3種類を使っている。

文字を打つこと、文字を書くことは、
(写真を撮ることも含めて)
自分と向かい合う時間であるとともに
さまざまな生き方との交錯の記録であり
悠久の記憶をたどりつつ、
短い人生に投影する行為なのだ。

ダークブルーというよりもジャパンブルーという感じ
D7K_2058a-2.jpg

パイロット カスタム74







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空と海

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2015年03月14日

ブラザー複合機 MFC-8820J お譲りします


ブラザーの複合機 MFC-8820Jをお譲りします。
http://www.brother.co.jp/product/printer/mfc/mfc8820j/index.htm

取扱説明書
http://support.brother.co.jp/j/b/manualtop.aspx?prod=mfc8820j

・ファクス、カラースキャナー、コピー(モノクロ)、プリンター(モノクロ)の4機能
・読み取りは、CCD方式です。
モノクロA4自動両面印刷対応
・外形寸法(横幅×奥行き×高さ)532×444×469mm(突起部を除く)
・質量 約18.1kg(消耗品除く)

※プリンターはレーザーで印字品質は優秀です。テキストベースでは公に提出できる品質です。
※ドライバーは、公式にはWindows7に対応していないようですが
 当方では稼働しています(Windows7 64bitで使用中
http://support.brother.co.jp/j/b/downloadlist.aspx?c=jp&lang=ja&prod=mfc8820j&os=84
※購入後、故障はありません。

消耗品として、ただちにトナーカートリッジをご購入いただく必要があります。

◆トナーカートリッジTN-33J
約3,300枚 (A4/5%印字時)7,700円

◆トナーカートリッジ TN-36J
約6,500枚 (A4/5%印字時) 13,000円

印字の多い人は、TN-36Jが良いでしょう。


カラー印刷に迫られたのと、
トナーが切れたことをきっかけに新たな機種を導入することにしました。
紙送りが優秀でトラブルがなかったことから次もブラザーを購入することとしました。
http://www.brother.co.jp/product/printer/mfc/mfcl8650cdw/index.htm

上記の仕様、動作条件に納得され
設置面積をご確認のうえ取りに来られる方に無償で提供いたします。
NPOや小規模オフィスなどでご活用いただけると思います。
転売目的の方はご遠慮ください。
(サポートはいたしませんので悪しからず)

お電話でどうぞ(平井吉信 070-5680-7800)
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空と海

at 13:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 共感