2013年08月29日

成熟業界にもニッチな市場、中小企業の腕のみせどころ

ブラウン管テレビの良さ

愛用のテレビ(15インチ)が、
夜の場面では闇夜のカラスを見ているようで
ほとんど見えなくなった。
設定を最大輝度に変更しても変わらない。
20年ぐらいは使っているので、
そろそろブラウン管の寿命かもしれない。

それは、ソニーの15インチのブラウン管。
購入当時の価格は10万円を越えていたと思うが、
精緻感がありながら輪郭強調のない自然な画質と
やわらかな階調で眼にやさしい。
富士フイルムのデジカメ(高級機)が好きな人には
「ああ、あんな感じか」とわかってもらえるかも。
この画面の自然さ、奥行き感は、
この時代のソニーの「プロフィール」シリーズが
最高ではないかと思う。

ハイビジョン、プラズマなど家電店の店頭で見るテレビは、
画面がぎらぎらして輪郭がきつく画面を見るのがつらい。
販売店では化粧(店頭効果)をしているのだろうと
画質設定を地味な方向に振ってみる。
すると、ギラギラは収まらないまま
画面の躍動感が消えてつまらなくなる。
厚化粧をとれば、実は…ということでなければよいが。

日本製の優位が薄れたのは価格競争に敗れたからではなく、
使い手の暮らしを見つめなかったからではないか。
テレビは20年前に性能のピークを迎えてしまい、
その後はコスト競争を理由に、
プラズマ、ハイヴィジョン、4Kと
ひとりよがりの高付加価値をめざしたが、
その戦略は海外メーカーにことごとく破れた。
(現実的に、アナウンサーの顔に皮脂が見えるとしたら、それは解像感を演出するため過度の輪郭強調等の画像処理を行っているのではないか。そんな画面が見えて誰もうれしい人はいないけど)
スマートフォンも同様だろう。

目の健康〜ブルーライト問題〜

パソコンやスマートフォンが普及するに従い、
目の疲れ、肩のこりを訴える人が出てきた。
(一日中、いじっている人はダメだろう)
長時間の作業は避けるべきなのはいうまでもない。
しかし、そうした不満(ニーズ)に応える眼鏡はなかった。
いや、あったのかもしれないが、
パソコン等から出る青い光が網膜や脳に与える悪影響を
ブルーライトというわかりやすい言葉で
とある眼鏡チェーンが訴求した。
(現在、有効性をテスト中)

すると、口コミで拡がり、
いまや百万本を越えるベストセラーとなった。
眼鏡(=度数)を必要としない人たちにも購入されるなど
業界では異例のことである。
電子画面に囲まれた生活で目を守るために
できることを提案することで新たな需要を喚起した。

【参考】目の疲れを防ぐ背景色と文字色の設定を試す(秀丸)
フォントはメイリオ。
黒基調にオレンジ文字は疲れないのではと考える。
ただし紙資料を交互に見ることを考えれば、
やや行きすぎかもしれないが。
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放送弱者の切り捨て

わが家にはもう1台、
15インチのアナログテレビがある。
これも2015年には
デジタルアナログ変換が中止となるので
それ以降は使えなくなってしまう。

高齢者の一人暮らしなどの家庭では困る人も少なくないので、
このサービスは継続すべきだろう。
放送のデジタル化で
テレビ音声のFMでの音声受信もできなくなっている。
放送とは公共性が生命線なのに
次々と放送弱者を切り捨てている政策はいかがだろう。

エアコンと冷蔵庫とどう向き合う?

省エネルギーの視点から、
古いテレビは
新型に置き換えるべきとの意見もあるだろうが、
小さな音量と適切な輝度設定で使う限り、
電力消費が問題にはなることはないだろう。
エアコンの温度設定を1度下げるだけで
電気の使用量は10%下がるなど、
電気の消費量の多いエアコンと
冷蔵庫のマネジメントを行うことが
省エネルギーの近道である。
逆に画面の大型化に伴う消費電力が増大するうえ、
視力への影響、ブルーライト問題など、
家庭生活ではマイナス面も少なくない。

ほんとうに好きな人がつくる家電

ほんとうに欲しいものが家電品からどんどんなくなっていく。
家電の本質を見抜いた提案を行っていたサンヨーも
中国メーカーに買収された。
例えば、炊飯器一筋に研究を重ねて
「飯炊きおじさん」といわれた下澤理如さんが
つくりあげた電気炊飯器
(10年前に購入していまもわが家で活躍中)は
おいしい米が炊けると評判になった。
下澤さんはさらに米でパンを焼けるGOPANの開発も行った。

一定の温度で調理ができる電子レンジもサンヨーのみ。
旨味の本質を考えて調理を行う人には宝物のような機種で、
たかだか3万円であったため生産終了時に2台購入した。

スマートフォンで操作ができることを
アピールするメーカーもあったが、
おいしい料理を提供するという
本質的な価値とどちらが大切だろうか。
お節介機能やマイナスイオンなどの
「ギミック」に傾倒したメーカーは
その後業績が悪化していった。

洗濯機も然り。
こうした優れものの技術、人材が
日本から消えようとしている。
白物家電はコストダウンが著しい分野で、
高付加価値をめざす日本のものづくりが
手を出すジャンルではないと判断したのだろうが、
サンヨーの価値に気付かず手を差し伸べようとしなかった。

ここでの教訓は、投資効果やROIのみを見ていると
顧客が見えなくなるということである。
もうひとつは、
その分野に熱意を注ぐ個人やチームが
担当すべきということである。
料理をしたこともないサラリーマンが
電子レンジを担当し、
そんな人たちが合議制でものづくりをすればどうなるか。
その結果、made in Japanの銘が
必ずしも優れた製品の証でなくなったことは残念である。

ジェネリック家電 大手家電メーカーのすきま市場をねらう

ところが、大手が撤退した白物家電で、
日本の中小メーカーのが参入が続いている
(ジェネリック家電とも呼ばれる)。
これらのメーカー品は、
海外品と対抗できるぐらいの価格で
ホームセンターなどで売られていたが、
この頃では家電量販店でも見かけるようになった。

エアコンのない事務所なので
風を送るための扇風機を8月の中旬に購入した。
それまで導入しなかったのは、
扇風機は書類が飛ぶなど実用性がなかったのと
昨年まではエアコンがあったからである。

そこで扇風機をと、ケーズデンキに見に行った。
(家電業界のなかで接客と商品知識は群を抜いていると思う)
ふと目に止まったのは、
32段階に風量を調節できる機能がある機種。
その風のまろやかさに心を動かされた。
つくりの良さも直感的に感じた。
TOYOTOMI 【DCモーター搭載】ハイリビング扇風機 ホワイト FS-DC300DHR(W)

トヨトミ FS-DC300DHRの使いごこち

楽しみにしながらまずは寝室で使ってみると、
一晩中当たっていても疲れない心地よい微風。
(タイマーで消す必要がないぐらい自然の風だった)

しかも直流モーター仕様でほんの数ワットで駆動する。
トヨトミは昨年末に購入した石油ストーブが良かった。
心も身体も温まるもので、なおかつつくりが良い。
もしかしたら、扇風機も期待できるのではと思ったが、
安かろう悪かろうの製品とは一線を画すモノであった。

購入してからわかったことであるが、
モーターを格納している容器は不燃処理があり、
コンデンサーにも注意を払っているとのこと。
電源の安全性、製品の耐久性に
深く関わる重要な部品でありながら
スペックに現れない部品なので
まっさきにコストダウンの対象となる。

実は、コンデンサーの件で
トヨトミ社にさらに電話で問い合わせを行い、
本機の安全機構の確認を行った。
本機に関しては、ACアダプターを介して
低電圧で駆動するので
コンデンサーの対策は特に必要なく
駆動部に負荷がかかることは少ないとのこと。
DC扇風機の隠れた利点が見えてきた。

ファンケースに触れると、回転が一時停止する機能などは
小さい子どもがいる家庭向けの機能である。

それが必要かどうかは別にして、
暮らしの一こまに思いをめぐらせて
設計されたものであることは間違いない。
この扇風機は9千円で購入できた。
TOYOTOMI 【DCモーター搭載】ハイリビング扇風機 ホワイト FS-DC300DHR(W)

このように家電が失った上質の暮らしの提案を行ったり、
なかには、よい素材とデザインや質感を磨き上げて
大手メーカーよりも高い値付けを行い、
消費者に支持されている例もある。

暑い夏もエプソンダイレクトのデスクトップPCで乗り切れる

ぼくが主力で使っている
エプソンのデスクトップパソコン(MR6900E)も
電源まわりのコンデンサーには
日本製の信頼できるパーツを使用。

エアコンのない事務所で気を付ける点は
パソコンのハードディスクの温度である。
しかし、MR6900Eは排熱が優秀で、30度を超える室温でも
ハードディスク内には熱はこもらない。
35度近くに気温が達した日でもトラブルは皆無である。
ハードディスクの増設や換装のしやすさはピカイチだし
ホコリも内部に溜まりにくいが、清掃も容易だ。
だから、夏場でも安心して使える。

排熱性に優れた機種では、
ファンがうるさいだろうと心配する人もいるだろうが、
パソコンを選ぶ最優先項目に静粛性を選ぶぼくでも
まったく気にならないし、音楽鑑賞にも使えるほどである。
(PCスピーカーとしてタイムドメイン・ライトを使っている)
その理由は、新日鉄に特注した
厚めの鉄板を使っているということも原因だろう。
エプソンは単なる部品の組立屋ではなく
細部に至るまで自社特注部品をカスタマイズし
徹底的にテストを重ねて
システムとして磨き上げたもの。

エプソンダイレクトは納期も早いし保守体制も万全。
その代わり、他の直販メーカーと比べれば
価格が高めに設定されているが、
それらはすべて
安定して末永く稼働させるための品質にかけたもの。
(これに匹敵するのは、かつてのThinkPadぐらいだろう)。
トラブルで業務が滞るリスクと比べると
たかだか数千円程度の差。
日経が毎年行っているユーザーの満足度評価では
トップではなかったか。

ということで、
MR6900Eは、これまで購入したすべてのパソコンで
もっとも満足している。
CPUの処理速度と価格対比などどうでも良い。
安心して使える安定性、保守性の良さが決めて。

Windows7Proの64bitに
以前に購入していたXPを追加インストールして
自己責任でデュアルブート仕様にしている。
BIOS起動時に手動切り替えを行い、
デフォルトでは自動的にXPが立ち上がるようにしている。

Web上でも品質(製品そのもの、サポートとも)への評価は高いようだ。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1227/hot351.htm
http://okwave.jp/qa/q3218015.html

現行機種では、その後継のMR7200Eとなる。
エプソン Endeavor MR7200 350W電源搭載モデル(MR7200E-L)



自宅用にコンパクトなデスクトップでは、この機種がおすすめ。


(以前に使っていたデルの4600Cは排熱が悪いうえ、つくりが粗雑で信頼はなかった)。


小さくても良質のテレビを求める

話をテレビに。
15インチの性能の良さそうな液晶テレビを調べてみたが、
見つからない。
テレビを置く場所の寸法は横幅40センチが限度であり、
壁に掛けることも不可能なので、
せいぜい20インチが限度
(小さい画面は解像度が高く良質の画像が得やすいのも理由)。
残念ながら、小型で上質のテレビを求めるニーズに
応えるメーカーはないようである
(10〜20万円でもそれを必要とするニッチな市場は確かにあるはず)。

その後、ブラウン管は他の方式と比べてブルーライトが
圧倒的に少ないことが判明。
流行のLEDは特に青色発光性にピークがあるものが多く
ブルーライトが多い(家庭用の照明としてもどうなのだろう)。
(↓こちらのリンク先の情報は必読)
http://bizmakoto.jp/style/articles/1206/01/news047.html

あまり知られていないが、
LEDは、雷時のサージ電流の保護も問題となる。
(球本体が高価なだけに)
動画の応答性が良いことなどと併せて
ブラウン管方式が見直されて良いし、
少量でもプレミアム感のある小型ブラウン管を
現代の技術でもっと尖らせてみるのもおもしろいと思うが。


通話(音質)の良さでウィルコムのPHS しかし… 

電話で大切なやりとりを行うため、
音質が良いPHSを10数年使っている
(電話機能を重視するなら通話がしにくく音質が悪いスマートフォンはあり得ない)。
ただしPHSには、
他社が行っているように災害時の情報源としてエリアコール機能は欲しい。
毎日のようにウィルコムからの販促メールを受け取っているが、
災害時の一斉送信のサービスはいまだに行われていない。
また、メーカーにも数年来要望を出しているが、
日本のIT活用の先進地区である上勝町が
いまだにエリアとなっていない。
おばあちゃんがスマートフォンを使って農産物の出荷を行い、
マイクロソフトがICTで提案を行い、
ドコモがスマートフォンの普及を支援し、
海外からも視察が来ている地区であるにもかかわらず。

デフレも海外も関係ない まず人々の暮らしに寄り添うこと(そしてその想像力)

日本の企業が埋没しないためには、
生活者の暮らしに寄り添うこと。
そして、思いのある技術者の夢に懸けること。
責任を取らないチームの合議制で決めないこと。

成熟市場でも細分化すれば、
ニッチな市場で人々の幸福を提供する機会は無限にある。
成長分野のみに補助金を投入するのではなく、
国民生活を潤す試みを支える施策を考えるべき、
というのは経済産業省への提言。

追記

購入したブルーライト対応グラス「JINS PC」
実際に徳島クレメント2階の実店舗で試着してみたが、
レンズが大きいほうが大画面や首振りにも対応できる。
透明のクリアタイプよりも、
青色光カットが大きく可視光透過率も85%が確保され
独自の調光特性を持つハイコントラストタイプが良かった。



購入したトヨトミの32段階調節のDCモーター扇風機
9枚羽のやわらかな風と落ち着いたデザイン。


2013年05月11日

体幹を意識して歩き、五感にスイッチを入れる。わかりやすい山野草はこの図鑑で

見ればみるほど見慣れない。
新種か?とわくわくした。

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ここは上勝町の旭川沿いの散歩道。
遊びではなく、仕事で来ている。
複数の訪問先の間にこの遊歩道があるため、
歩いてみた。
地元のみなさんが「花の散歩道」と名付けた
川沿いの花の小径である。

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さっそく持ち帰って、
「山渓ハンディ図鑑」の野に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)を最初からめくってみる。

徳島で見かける山野草の同定には
「野に咲く花」か、
同時に改訂された山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)
に掲載されていることが多い。
詳しいのにコンパクト。
二十数年ぶりとなる2013年春に改訂増補されたもの。
写真と文章の量が適切で
現時点でもっとも使いやすい山野草の図鑑と思う。
(これに似たような図鑑は他社から販売されていない)

その花は「野に咲く花」の469頁に掲載されていた。
サギゴケ(ムラサキサギゴケ)という。
(写真が鮮明でクローズアップもあるので一目でわかる)。

「サギゴケ」の撮影日時は
「2012.4.30 八王子市」となっている。
(撮影日と撮影場所が記されている)。
改訂に伴い写真もグレードアップされたものと思われる。

徳島県の那賀川中流域にしか分布しないという
ナカガワノギクもワジキノギクも518頁に大きく掲載されている。

辺り一面に咲いているのはシャガ。
DSCF1959-1.jpg

「高山に咲く花」も改訂が予定されているが、
四国にいる限り、
「高山〜」の必要性は感じない。
それでも眺めるだけで楽しいので
ぼくは持っている(旧版だが)。






新しいヤマケイのこのシリーズは、
DNA分析に基づく分類がなされており、
現時点で最新の植物図鑑といえる。
全景とともに、部分のクローズアップが掲載され、
同定しやすい。
また、類書と比較して写真も比較的新しい。

DSCF1955a.jpg

似たような花だが、これはカキドオシだろう。
452頁にクローズアップの写真があって同定できる。

600頁を越える図鑑を最初からめくっていくのは
時間がかかりそうだが、実際はそうではない。
似たような種類が集まっているので
読み飛ばしていける。

名前を見て説明を読んで納得。
こうしてみると、
人はイメージ(絵)だけを記憶するのではなく
それに論理的要素や記述を連関させて
脳に刻んでいくことがわかる。
イメージの固定とでもいおうか。
逆に文字や論理からイメージを引き出すこともできる。

自分の脳の動きを意識する、
自分の身体の幹(体幹)を意識する、
これを日常的に無意識に行っているようだ。

山を歩くとき、とりわけ最初の半時間、
もしくは傾斜がきつくなるときなど
ぼくは意図的に歩幅を小さくする。
(かかととつま先が接近するぐらいの小さな歩幅)。

足の裏は斜面を自在に捉えるよう力を抜く。
体幹はぶれないように丹田に意識を置く。
いわゆるナンバ歩き。
何時間歩いても疲れないという不思議さ。

→ この本で体幹とナンバ歩きの知識を修得した。
身体意識を鍛える―閉じ込められた“カラダのちから”を呼び覚ます法

ナンバ歩きは日常にも応用できる。
重心の移動によるエネルギーの損失がないことと、
体幹がぶれないことで
荷物が多いとき、
疲れたときに有効だ。
楽なだけではなく、
ナンバ歩きのさらに優れたところは、
とっさにトラブルを避けられる可能性が高いこと。
(近年ではオリンピック選手を中心にナンバ歩きの動作を取り入れるアスリートが増えている)
ぼくは無意識にナンバ歩きを行っているが、
見る人が見なければ、ナンバ歩きだと見抜けないと思う。

歩くことは
五感のセンサーをすべて活用する高度に知的な遊び。
スマートフォンをいじったり
iPodを耳に接続することで
五感のスイッチを切ってしまうのは
もったいない気がする。

だって、日常のなかに宝物はいっぱい隠されているのだから。

(花のクローズアップはフジフィルムのX20。jpegそのままをトリミングしただけ。色彩は落ち着いているのに抜けがよい)
タグ:植物図鑑

2013年04月12日

X20 人の記憶の色に忠実な再現

道具って楽しい。
それが何かを生み出すのであれば。

父は若い頃、自分でモノクロの現像などもやっていた写真好き。
小学生のぼくにもカメラを買い与えた。

それが、ミノルタのハイマチックF。
NASAの飛行士が宇宙に持ち出した
ハイマチックを受けつぐカメラである。

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いまも手元にあって、シャッターは快調。
クロームメッキは経年変化を忘れたかのように
銀の輝きを曲面に宿す。

レンズは、ROKKOR 38mm/F2.7。
標準よりやや広い準標準の画角は風景を違和感なく切り取る。
ネガフィルムで撮影すると、
色彩の忠実な、それでいて階調豊かな画になる。
(ほんとうに良いと思う写真は、超広角や望遠ではなく、広角から標準域が多いような気がする。落ち着くとでもいうか)

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ぼくの事務所にかけてある額縁は
ハイマチックで撮影したネガフィルムから伸ばしたもの。
光の明暗を慈しむようにやわらかく捉えた画は
夢幻を漂うようでありながら現実感を併せ持つ。

ライツミノルタCLは、父の形見である。
レンズは、Mロッコール40mm/F2とMロッコール90mm/F4。
事業の羽振りが良かったときだろうか。
近所のカメラ屋で勧められて購入したらしい。

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フジクロームを詰めて
何気ない風景を撮影してみたら驚いた。
明るい部分に力があり、
暗い部分もコントラストが高いのに
なめらかにつながっている(対比と連続性の両立)。
画面から受ける印象は、
しっとりとした油彩画のような感じとでもいおうか。
全体の印象はコクがあるという感じを受ける。
四国の「空と海」その2のタイトルバナーは、
このカメラで撮影した風景を加工したもの。
現物として手元にある本機は、
日本に残されているライツミノルタとして
極上の保存状態と思う。

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父は、アサヒペンタックスSPFも持っていた。
スクリューマウントの開放測光で使える
一眼レフで当時のベストセラー。
天体写真を撮影したのはこのカメラで
(電池不要で長時間露光で可能)
特に、SMCタクマー35mm/F2と85mm/F1.8を多用した。
望遠鏡と接続して撮影した月面が
天文雑誌に入選したのもこの頃である。
(10代の頃は天文学を志していた)。

社会人になると、
自分もカメラ(一眼レフ)を買ってみようと思い、
ミノルタになじんでいたこと、
篠山紀信や三好和義が使っていたことなどで、
X700にした。
(ほんとうはXDが欲しかったのだが、新品で手に入らなかった)。
ファインダー(スクリーン)が見やすく、
明るいのにピント面が合わせやすい。
(この点では、ニコンF3をはるかに凌いだ)
南太平洋や四国の山野、
水辺をともに歩いたのはこのカメラである。

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その後、ミノルタはオートフォーカスの一眼レフを開発し、
世に出した。
一世を風靡したα7000である。
(ぼくはオートフォーカスのカメラには興味がなくX700を使い続けた)
ミノルタはこのカメラから伝統のマウントを変更して
まっしぐらにAF化を進めた。
ところが、事業に行き詰まるようになり、
コニカとの経営統合を経て
カメラ部門はソニーに譲渡された。

「ミノルタ」という言葉の響きが好きだ。
(ただし、ロゴはいにしえの小文字が好きだ)
なにかの造語だろうが、
実る田んぼ → 豊穣の印象がある。
写りもそのとおり。

その伝統はソニーの現行機種にも受けつがれているようで
小型デジカメ史上最高の画質といわれる
DCF-RX100の吐き出す画に共感する。
小さなカメラから
ファンタジーあふれる絵が紡ぎ出されるのだから
幸福感さえ感じさせる。
(操作系になじめれば購入したのだが…。何もかもカメラ任せにしたくなかったので)

デジカメで購入したのは、フジのF31fd。
メモ代わりに使って数年になる。
廉価な機種でありながら、
複雑な光源下でも安定したホワイトバランスを見せる。
色の再現性について、このメーカーは何か掴んでいると思う。
オーディオでは、
デンマークにオルトフォンという
カートリッジメーカーがあるが、
レコーディングマシンのカッターヘッドの特性を
知り尽くしていることから
民生用のカートリッジの設計に
その特性を巧に利用
(ないしはネガをキャンセル)しているといわれた。

フジはコダックと並ぶ世界のフィルムメーカーであり、
色とその再現に関してノウハウを持っているようである。

デジタルの一眼レフとして購入したのは
ニコンD50。
作品を撮影するというよりは、
科学写真、生態写真、記録用にと購入した。
一眼レフの特性は科学写真で生きる。
それに、質実剛健なニコンへの信頼感もあった。
(かつてのニコンFとその系譜に対する憧れはむろんあった)。

そして、数年前から
ニコンのD7000を使用するようになった。
四国の空と海のブログ2」で撮影した写真のほとんどは、
D7000によるものである。
被写体を見ながらISO変更、プログラムシフト、
手動でピント調整など
意のままに想定する結果に導くことができるという点で
中堅一眼レフはミラーレスに席を譲ることはないと思う。
ニコンの絵の主張は、実在感である。
(素材を活かすとでもいおうか)
色調を調えるのは後処理でもある程度対応できるけれど、
ぼく自身は人工的に彩度を高めたような画質は好まない。

そして、2013年。
新しい小型デジカメとして、フジフィルムのX20が加わった。

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ボディは黒にした。
シルバーも良いが、目立たずスナップしたかったので。
まるでライツミノルタの再来のよう。
南紀白浜に連れだしたら、
フジ伝統の優れた色再現が確認できた。

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人は、脳内で思い出を美化する。
写真を見るときも同様で、
人の記憶は実際の色よりも美しい色として捉えている。
それではと、撮影後に彩度を上げると
色が飽和して現実感が乖離する。

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フジの色は、人が記憶をたどる際に
脳内で描く美しい色を
人工的な化粧感を感じさせることなく
微妙な濃淡や色調の変化を踏まえてつくりだす。
想像だが、
舞妓さんを主に、背景に桜、
手元にはおばんざいがにあって
桜のたもとの川面がシャドーに落ち込んでいるような場面があるとする。
X20は日本的とでもいいたいような
繊細な線で絵画のような画を提供するだろう。

このカメラが中上級の一眼レフに優る利点として、
ボディが小さく目立たないため、さりげないことは当然として、
条件が悪い場所での撮影に失敗が少ないことが挙げられる。

一眼レフと違ってミラーのない構造(ミラーショックがない)に加えて、
小さなセンサー、明るいレンズ、光学式手ぶれ補正のバランス。
さらに、ファインダーが付いていることも大きい。
ファインダーを覗くとき、
右手、左手とともに額で3点支持となっているから。

設定はこんな感じ。
フィルム設定は、プロビア(ほとんどこれ一本で事足りる)。
(ベルビアはやや行きすぎているよう。アスティアは緑の表情が良い。ポートレートならプロネガスタンダードで軟調にするのも選択肢。ただし眠くなりすぎるときはアスティアで)。

発色について例えるなら、
あるメーカーは、色彩の視覚的な効果を追わず、
やや重厚感を持たせた忠実な再現をめざす。
別のメーカーは、色彩の効果を意識した透明感のある
(やや演出がかっているが)切れのある色彩をめざす。

それに対してフジは、
色の濁りを極力抑えて忠実な再現をめざしながらも
純度の高さから来る発色の妙を感じさせるとでもいおうか。

ISOはオートだが、400以上には上げないよう設定。
ISO切り替えのシャッター速度は1/15秒に。
この設定では
ほとんどの場面ではISO100で撮影できる。
とっさのときにISO400に自動で上がってブレを防ぐ意図。
(シャッターチャンスを逃がさないのが一義なので)

さらに、2つのカスタマイズダイヤルには、
ポートレートに適した設定と
低照度被写体向けの高感度の設定を行っている。

通常モードのときの画質の設定は、
シャープネス(−1)、
ノイズリダクション(−2)、
シャドウトーン(+1)
DR 100%(ダイナミックレンジの拡張をしない)。

28mm相当。プロビア、f4 1/640 ISO100(jpegそのままを縮小したのみ)。
やや曇り空なので淡い色が飛ばず微妙な色の再現が楽しめる。
DSCF0445.jpg

30mm相当 プロビア f2.5 1/250 ISO100(jpegそのままを縮小したのみ)
夕方近くで条件は悪い。一眼レフだとぶれる可能性が高い光線状態だった。
廉価ズームや高倍率ズームの一眼レフでここまで写るかどうか。
DSCF0403.jpg

Photoshop Lightroom (4.4)は持っているので、
X-trans CMOSのRawデータも補正できるが、
この色再現を見ているとjpegのみで充分。
Photoshop Lightroom は
jpegでの補正も万全ということもある。

33mm相当 f4 1/800 ISO100
DSCF0359.jpg

Photoshop Lightroom で補正したもの。jpegからも簡単に補正できるのでDRは不要であることがわかる(補正過剰であるが、わかりやすくするため)。
DSCF0359-1.jpg

生態写真にも使える。広角端で撮影しているが、背景を写しながらクローズアップができる。
明暗の差が大きいが、ダイナミックレンジの拡大は使っていない。jpegそのままで、なぜこんなにイメージどおりの写りになるのか不思議だ。これは一眼レフでは再現できない世界かも。曇りがちな天気で逆光であるが、色彩もいい。
(プロビア 1/220 f2.8 ISO160 28mm相当 フラッシュ使用せず、DR100%)
DSCF0629.jpg

その場の空気感を絶妙に醸し出している。春の午後の開けた沢筋に光がやわらかく回っている。(アスティア 1/300 f3.6 ISO100 43mm相当)
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別売りのフードとフィルターは付けておきたい。
ただし、このフードは繊細なネジ式なので
(一眼レフのレンズのようなバヨネット式ではないので)
取り外しを頻繁に行うことは想定しにくい。
また、フードは常時付けておいても邪魔にならない。
むしろ、レンズをひねるスイッチオンの動作で
レンズ面(フィルター面)に手が触れる怖れがない利点がある。

撮影中はケースから出しているが、
ケースにしまうときもフード+フィルター付きのまま収納したい。
それができるエレコムDGB-S011(電気店で千円で購入)を使っている。
(色は目立たない黒。このカメラにポップな色の収納は似合わない)
運搬用のアンチショックや、悪天候時の運用にも使える。



X20本体


専用フィルター、専用フード、専用キャップのセット


液晶保護シール


コンパクトな収納とデザイン性を重視するなら専用ケース
(ただし、フード付きで収納できるかどうかは確認できていない)


純正バッテリーNP-50は予備がないと一日の撮影は心許ない。
並行輸入品がコストパフォーマンスが高い。
数社から販売されていて不安を感じる人もいるだろうが、
私が購入した バッテリーはA・J・I・T・Oという販社だが、
まがうことないフジの純正の英語版表記の製品であった。
何度か使っているが問題はない。
リンク先から「新品の出品」をクリックして企業を選択する。



X20については、さらに撮影して感想を述べることにする。

2013年01月13日

フジフィルム X20にときめいた


現時点ではまだ発売されていない。
でも、プレスリリースを見て
富士フイルムが2013年2月に発売するX20にときめいた。

前機種(X10)でのユーザーの声をていねいに反映し
インターフェイスの改善に取り組んだ。
新たな技術も取り入れて
レンズを除いて中味が大幅に変わったようだ。

外観はほとんど変わっていないように見える。
でも、ボタンのわずかな位置と凹凸、
メニューの辿り方、
基本的な性能(フォーカス、ノイズ、解像度など)が異なる。

デジタルカメラは、センサー、レンズ、エンジン、
そしてインターフェイス(操作性、技術思想)で決まる。
2/3インチセンサー+明るいレンズ
発色の美しいフジ独自のセンサー(カラーフィルター)。

しかもこのカメラ、人が操作することを歓迎している。
(人が操作するのを拒否するかのような設計思想のないカメラも少なくないので)
レンズを繰り出すのさえ手動、だから無音、瞬時に電源が入り、
左手の感触で指を何センチ動かしたら、
ズームの画角がこれぐらいというのを指で感覚的に覚えられる。
(この意味、わかるかな?)
操作のたびにモーターがギーコギーコ音を立てるって好きじゃないし。

ミノルタのX700(MF=ピントは手動)を使っていたとき
ピントは無限遠に置いておき、
撮ろうと思って構えながら左手の指を無意識に動かす。
例えば、3メートル先の人物を撮ろうとしたとき、
構えたときにはすでにほとんどピントが合っているということ。

X20では、ピントではなくズーミングだが、
例えば、起動直後の28oに置いておき
被写体を見て親指と中指をどのくらい滑らしたら
何oの画角になるかを覚えておけばいい。

ただしぼくがズームレンズをあまり使わないのは、
この一体感が感じられないから。
(被写体との距離感も。ミノルタ時代は28mmばかりで撮っていたのだ)
画角なんてひとつかふたつあればいい。
トリミングやレタッチが自在のデジタルなんだから。

X20は前作からの地道な磨き上げで
真珠のような輝きを放つカメラになっている。
もちろん、made in Japan
(そうでなくては! 誇らしげに文字が躍っている)。

日本の家電が不振といわれるのは
これをやらなかったからだ。
合議制の製品開発で、
しかもさまざまな部署にまたがる技術開発を
統率できる社風(チーム力)があるなら、
まだまだ日本のモノづくりは負けない。
(負けるはずがない)

スペックやカタログを飾る要素に力を入れても
実際に使っている人の声に誠実に耳を傾け
一つひとつメーカーとして回答を示すこと。
今回のX20は富士フイルムの回答といえる。

なにごともなく流れる日常(モデルチェンジ)に
底知れぬ日本的な深み、凄みさえ漂う。
こんなカメラが5万円台で売られるのなら
どうすればいい?

FUJIFILM デジタルカメラ X20 ブラック 1200万画素 2/3型EXR-CMOSII F2.0-2.8 広角28mm光学4倍ズーム



2012年12月31日

カメラが描く光の園が好きだから


1. フィルム時代から
ミノルタが好きで使っている。
小さい頃使っていたハイマチックF
やわらかい写りをするコンパクト。

ライツミノルタCLは、
レンズの描く世界観と小気味の良いシャッター音を楽しむ。
D7K_4869a_NX2.jpg

X700は、フィルム時代、こればかり使っていた。
明るいファインダー内にふわっと
浮かび上がる被写体に夢中になり、
シャッター音ではっと我に返る
という感覚。
D7K_4878_NX2.jpg

D7K_4851_NX2.jpg

それゆえオースフォーカスには手を出さなかった。
やがてデジタルの時代になり、
そのうち、ミノルタ社の姿もなくなった。

2. ミノルタを受けついだソニー。DSC-RX100で飛躍

跡を継承したのはソニー。
DSC-RX100 は、
現時点でもっとも写りの良い
コンパクトデジカメといっても異論は出ないはず。

→ ソニーのWebサイトに使用者が投稿した写真サイトがある
http://acafe.marsflag.com/ja_all/search.x?q=&tag=&model=DSC-RX100&cat=photo

明るい部分にさらに光を集め、
コクのある画面を描き出す。
この画面からは幸福感さえ漂う。

マニアックなカメラももちろん良いが
このカメラは
シャッターを押すだけで良いといわんばかりの
シンプルな出で立ちのなかに
1インチセンサー、カールツァイスレンズを組み込み
高性能を隠してやわらかく存在感をアピールする。
このコンセプトが秀逸。

ぼくは、ThinkPadやカメラ(フジF31fd)、
モバイルルーターなどを
常時持ち歩いているけれど
これならポケットに入るサイズで、
鞄の内側ポケットに収納させておける。
ぱっと取り出して
優秀なオートフォーカスでささっと撮って涼しい顔、
という生活場面が浮かぶのだ。
宴の席で盛り上がった一瞬、
撮られた側さえ気付かないヒトコマ。
いつも持ち歩けると、
偶然の天候が遭遇した思いがけない光景を
さっと記録する。
それも、デジタル一眼のような画質で。

換算28oからの広角の始まりも適切。
24oからでは
常用域の描写が犠牲になる怖れがあるし
なにより気軽にかつコンパクトに高画質という
このカメラのコンセプトが違ってくる。
X700を使っていた頃は、7割が28mm1本で撮っていた。
28ミリから中望遠までカバーすれば、
日常の撮影目的は90%(限りなく100に近い)充たされる。
(レンズがあとわずか大きくなっても良いのでマクロ特性と、直感的に操作できるようなインターフェイスに改良して欲しい)

SONY Cyber-shot RX100 2020万/光学x3.6/ブラック


そう、この世界は光の園。
光があるから、そこに存在する
量子のゆらめきに意識の光を当てることが存在とも言う。
(アインシュタインは、神はサイコロを振らないと言ったが…)

写真とは、光を感じ、光を楽しみ、光で遊ぶこととしたら
まるで生きることそのもの。

人生を肯定したい人たちにとって
ミノルタを受けついだソニーの画づくりは
しっくり来るだろう。

まだ持っていない人間が書いてある。
それだけに、
このカメラを持ったらどんな場面(暮らし)が待っているかが
思い描ける。

3. 2012年のデジカメを振り返る

この際、この1年間のデジカメを綴ってみる。

現時点では、D7000(ニコン)とフジ(F31fd)を使っている。
(「空と海のブログ2」の写真はほとんどこの2機で撮影している。特に高価なレンズも所有していない。もっとも高価なものでも60/2.8マクロだけ→Nikon AF-S Micro 60mm F2.8G ED AFSMICRO60GED

ニコンの良さはよそよそしさがないこと。
人生をどこかで振り返るとき
写真はその記憶をたどるきっかけとなる。
ニコンの画質は「記憶色」というよりは
その場の空気感を伝えてくれる。
飾らないだけ飽きが来ない。
だから、カメラプロファイルは、
「スタンダード」か「ニュートラル」しか使わない。


手持ちのD7000はたったひとつを除いて
意のままになる良いカメラ、良い道具である。
それは、ミラーショック。
例えは、連射性能を落としても
掌で何も動じることのない動きにして欲しい。
(これは、上級機にも言える)。

そのため、D7000の画を活かすために
ジッツオの3型三脚を購入した。
この三脚はポールを抜いてセットすると
地上高10センチ程度のローアングルまで撮影できる。
また、高さをすべて伸ばすと背伸びしてもとどかないぐらいになる。
軽いのにぶれない(これをかついで石鎚の岩山さえ登っている)。
長時間露光や望遠レンズでのスローシャッター、商品撮影でも
何の不安もなく取り組める。


これに韓国製の自由雲台を取り付け、
D7000はカメラプレートを付けっぱなしにして
ノブ式のクイックシューで
三脚と手持ちを自在に付け替えられるようにしている。
自由雲台とクイックシューでは
縦位置の構図を取りにくいといわれるが、
この組み合わせは不安なく縦位置に倒すことができる。
(L字グリップを常時付けていてはカメラも重量増で重苦しいだろう)

D7K_4655_NX2.jpg

家電売場で各社の一眼レフを操作すると
キヤノンの中級、上級機種はミラーショックが少ないように感じる。
レンズも透明感があって華やかな絵を出すのだけれど、
「人生を肯定する」光の饗宴を描けるかどうか。
(きれいだけれど薄っぺらい感じがして幸福感を感じない。性能ではなく好みの問題なので各自お好きな画質で)

キヤノンとは方向が違うけれど、
ニコンの絵からも幸福感はそれほど伝わってこない。
なんだかいまの日本を象徴するかのよう。
繊細できまじめで
コントラストもはっきりした明快な画なのだけれど…。

しかし、ニコンはまじめなモノづくりの姿勢が伝わってくる。
ボディもレンズも使い手の意思に忠実。
心地よく撮影できるのだからあとは使いこなし。

4. フルサイズセンサーの利点

以下の機種は
実際に購入して使っていないのだけれど、
手に取った感想として。

ニコンのD600、D800はともにフルサイズ。
広角レンズで三脚を立てて風景を切り取ることができたら
どんなに楽しいだろうと思わせる。

Nikon デジタル一眼レフカメラ D600 ボディー
Nikon デジタル一眼レフカメラ D800

ニコンから近年発売された
50/1.8、85/1.8、28/1.8など
フルサイズ向きだなと思わせる。

かつてのブローニーや4×5で撮影していた風景写真は
フルサイズ高解像度の35o一眼レフに置き換えることはできると思う。
過酷な環境での学術写真や超望遠を駆使するスポーツ、
大伸ばしを前提とする広告写真などもフルサイズ向きだろう。

Nikon AF-S NIKKOR 28mm f/1.8G AF-S28 1.8G
Nikon AF-S NIKKOR 50mm f/1.8GAFS50 1.8G
Nikon AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G

5. APS-Cサイズに期待

ただ、普段の撮影で
大きなセンサーサイズが必要な人は少ないだろう。
データが大きくなるのもマイナス。
フルサイズはいいなと思ってもなかなか購入に踏み切りにくい。

APS-Cの一眼は、どこの会社も広角レンズがもうひとつ。
やはり、マウント径、バックフォーカスが
フルサイズに合わせてあるからだろうし、
良いレンズはフルサイズ規格に多いのも偶然ではないだろう。
APS-Cでは
フルサイズ対応レンズのイメージサークルの
中心部を使うことになる。
確かに周辺画質では有利かもしれないが、ムダを感じる。

一般的な写真は、解像度だけでなく階調、手ぶれしないことなど
総合的な過程で判断する必要がある。
一眼レフでは手ぶれしてしまう環境でも
コンパクトカメラなら対応できるという状況も日常的に少なくない。
そう考えると、APS-Cのミラーレスは日常的な用途の95%はカバーできるはず。
イメージサークルを限定すればレンズはコンパクトになるし、
フランジバックが短いミラーレスでは、
超広角、広角はより良い画質が手頃に得られるという点で
フルサイズ、APS-Cサイズの一眼レフより明らかに有利だ。
手ぶれ補正が付いていれば、自宅でのスナップ、会場でのスナップ、
旅行先での一こまなど一眼レフに優る道具となるだろう。

このようにミラーレスは、APS-Cに特化したマウント設計が可能だ。
だから、レンズ性能を発揮しやすい。
フルサイズの流用でなくサイズを合理的に小さくできる。
APS-Cサイズは、現時点では特殊な用途を除いて
ほぼ100%に近い満足度を得ることができると思う。

それにはフルサイズ兼用ではなく
最適化したマウントが望ましい。
だから、ミラーレスの将来は明るいと思う。
ただ、なぜ、ソニーとフジでマウントが違うのか。
もし、本気で規格を普及させるのなら
話し合いにより一本化できなかったものか。
(マイクロフォーサーズでは、パナとオリンパスがマウント規格を共有している。だから好みのレンズを選べる。コシナが参入したのも大きい)


ただ、一眼レフのペンタプリズム式光学式ファインダー
「写真を撮る行為」の大切な部分を構成していると思う。
背景から被写体が浮かび上がる瞬間のときめき
光のやりとりを通じて共鳴しあうとでも言おうか。
今後も一眼レフはなくならないだろうし、
なくなって欲しくない。

ソニーのミラーレスNEXシリーズ
リズム感よく写真が撮れる。
おそらく日常的な使い心地は最高だろう。
ただし、現時点では広角から中望遠までをカバーする
日常的なズームレンズに良いモノがない。
(広角ズームは超広角すぎで日常的には使いづらい。せめて換算36mm程度の準広角までカバーしてくれたら…。単焦点はフジと互角だと思う)
もしかしたら、
1インチセンサーのDSC-RX100
間に合うのではないかと思わせる。
持つことの喜びとは何か?という点も考えてみたい。

ソニー デジタル一眼カメラ α NEX-6ズームレンズキット NEX-6L/B


フジのXシリーズの一眼はいい。
特にX-E1
レンズの揃え方が上手で描写も操作の感触も魅力的。
のっぺりとしたデザインだが、
飽きは来ないと思う。
派手な描写はしないが、色の乗りは天然色的。
同じように日本的であっても、
ニコン、キヤノンとは方向性が違う。
クールジャパンの良さが漂うとでも言おうか。
jpegで使えるのも保存性を考えると利点が多い。

ただ、オートフォーカスの速度、精度が
人の感覚にやや追随しない感覚を受ける。
次の改良点は、リズム感を持って操作できること。
メカ的な反応だけでなく、人間の皮膚感覚に寄り添うように。
(木村伊兵衛や土門拳が使ってみたいと思えるような)

ディスプレイが可動しないのも惜しい。
スナップでの速写性を売りにしたり、
その逆にじっくりと絵をつくるのなら
可動式ディスプレイは必須だと思う。
(NEXと同様に完成度はこれから高まるのが楽しみ)

FUJIFILM デジタル一眼レフカメラ X-E1 ブラック レンズキット ミラーレス 1630万画素 APS-Cサイズ Xマウント X-E1/XF18-55 SET B

オリンパスもがんばっている。
XZ-2OM-Dは通好みだと思う。
XZ-2を操作すると
インターフェイスがこなれていて直感的に使えるし、
マクロに強いのは記録カメラとして心強い。
実際に操作すると
シャッターチャンスに強いカメラだと思う。
OM-Dは
未来志向のデザインのほうが良かったのではないかと思うが。

OLYMPUS デジタルカメラ STYLUS XZ-2 ブラック 1200万画素 1/1.7型 裏面照射型CMOS 光学4倍ズーム F1.8-2.5「i.ZUIKO DIGITAL」レンズ 3.0型可動式LCD XZ-2 BLK

最後にひとこと。
技術者はインターフェイス(人とモノの意思疎通)を磨いて欲しい。
フジとソニーのミラーレスは可能性を持ちながらも
この点ではまだまだだ。
直感的に使えるとはどんなことなのか?
突き詰めて考えてみたい。
「技術」は海外に決して負けていない。
足りないものがあるとしたら、「技術思想」だ。
センサーやレンズの改良のみならず、
インターフェイスにこそ力を注いで欲しい。


  あのフクシマにもそれがあったなら…と悔やまれる。
  「想定外」という言葉を使うこと自体、
  技術思想がないことを表している。

D7000を使っているのは、
「写真の基本を知っている人間」(これが主語=想定顧客)にとって
皮膚感覚で扱えるから。
撮影モードは「プログラム」、
プロフィールは「スタンダード」。
多用するのは、プログラムシフト、
ISO感度切り替え、露出補正。
これらをファインダーから眼を離さずに即時にできる。
中央重点、シングルフォーカスにして、
AEAFロックを併用すれば事足りる。
(結局のところ、私のような想定顧客にとって納得のいく操作感は現時点では一眼レフを選ぶしかない状態である)